"消えた十一丁の鍬" 第14話
さなかった鉄
の属を集め直すと、以の見込みよりずっと量がなかった。壊れた鍋でも湯を沸かすのに使っているがあり、曲がった釘でも板を留め直して使うがいる。田は計量した数字を見て、「これでは軸を譲る話がまん」と言った。健は腹をて、「の奥にまだ隠している物があるはずだ」とにしたが、徳兵が遮った。「使う物まで無理にさせれば、同じことの繰り返しだ」
信は田と確認をねた。修理用材料を確保するために必なのは、単にが鉄を何でも量に持ち込むことではなく、受け渡し先が納得できる処理の方法だった。相の軸は使える部材であり、廃品として引き取るだけなら別の扱いになる。本は関係先への問いわせを続け、信には「役の面だけで片づくとわないでください。待っているも、扱いを決めるもいます」と釘を刺した。
その、徳兵は自分の鍛冶を片づけていた。集めた端鉄、欠けた敷の付属品、使わなくなった枠をつずつへ並べる。お勢が「今まで事に取っておいた物でしょう」と言うと、徳兵はさくうなずいた。「だが、これを抱えて鍬を返せずにいたら、鍛冶の板のほうが無駄になる」。惜しい物はあったが、修理に本当に必な物とそうでない物を信と緒に選んだ。
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やがて必な量の部を補えることが分かり、田は軸を持ってへ来た。信は礼を言い、受け取った鉄を作業台のへ置いた。ずしりとい棒状の鉄は、父が鍬の刃から作った具とはも触りも違った。徳兵は断面を見て「これはすぐに打てん。扱いを違えれば割れる」と言った。町で械を修理した経験のある信も、加にがかかることは承していた。
だがびはく続かなかった。集めた鉄のに、弥助が「まだ使っている」と言っていた古い削りが本混じっていたのだ。運搬を急いだ健が、の名の札をして持ち込んでいた。徳兵は軸を受け取るを止めた。「この削りを抜いて、数がりなくなるなら仕方ない。まず返す」。健は顔を変えた。「たった本のことで、今までの話を駄目にする気ですか」
「本を勝に使って、わしらはここまで揉めたんだ」。徳兵の声はかった。信も削りを取り分け、田に再計量を頼んだ。取引に必な数に届かなくなれば、ほかの品を探し直すしかない。結局、そのは軸の受渡しを仮のままとし、から分を改めて申しることになった。
健は皆ので謝ろうとしなかった。余計な丁を積んだことが悪いのは分かっていても、のために急いでいた自分だけが責められる気がしたのだ。
夜、父の槻は息子を呼び、「おはを守ろうとしていた。だがには、弥助も佐代も入っている」と言った。健は初めて、のためという言葉で自分が見なくなっていた顔をい浮かべた。翌朝、彼は削りを返しに弥助のへき、ようやく直接謝った。皆は疲れた顔で帰ったが、弥助は削りを胸に抱き、「今度こそ、俺に聞いてくれてよかった」と言った。
夜、父子は作業台の軸をに座った。に入れたものをすぐに使えず、ばかりが過ぎていく。それでも徳兵は「急いで違うよりはましだ」と言った。信には、その言葉が父のからたことが、軸よりもきな変化にえた。