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"消えた十一丁の鍬" 第7話

鍬をなくした

の寄は寺の広でかれた。徳兵は最初に、自分が丁の鍬の刃を断りなく具へ作り替えたことをかした。「壊れていた物もあったが、直す約束で預かった品だ。わしに勝に使う権利はなかった」。いつもなら威勢のよい鍛冶がをげる姿に、たちはかえってをけなかった。佐代だけが、膝ののをく握りしめていた。

「鍬がなくて困るのは今です」と佐代が言うと、徳兵は「修理の代わりに畑へて働く」と申した。だが佐代は首を振った。「おじさんが畑へ来てくれても、私が別の仕事へく、鍬は残らないでしょう。物を物で返せないから、誰かがずっとを貸さなければならない。それではいつかまた困る」。徳兵は答えられず、信は母のお勢が目を伏せたのを見た。

槻は寄をめようとし、の仮修繕と排を先に決めようとした。しかし弥助がちがって、「うちの芋畑の話はどうなる」と問い返す。今守らなければならないのは稲だけではない。の畑にはまでべる芋があり、裏の畑には麦を蒔く準備がある。つの用のために、全体がきできなくなっていた。

信は修理用の農具を持ち主ごとに並べた図を見せた。丁は返却済み、丁の刃は失われ、残る丁は破損がひどい。

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がちがり、柄のい鍬を失ったと訴えた。「寄りのわしは、誰かのい鍬を借りても振れん。鍬さえあれば、自分の畑はまだ自分でできたんだ」。その声を聞いて徳兵はをげ直した。にとって農具を失うことは、べ物を作る力だけでなく、へ頼まず暮らす最の段を失うことだった。信は図ののの名を見た。本分の空欄が、の暮らしにどれほどきな穴をけるか、今になって胸に迫った。だが柄を作り直すだけで使える刃を持つもあれば、刃があっても握るにわないもある。単純に「使えるから貸してくれ」と頼めば、いほど回しになるだろう。

「おは今まで、帳面での仕事を分けようとしてきた」と、父がく言った。

信は寺の障子越しに、夕が田の向こうへ沈むのを見た。ここにいるは皆、も畑へるつもりで具を預けた。誰かを守ると決めるに、そのが何を望んでいるか聞くべきだったのだ。信は息をんだ。父は続けた。「だが今は、その帳面を皆に見せて、緒に直す方法を聞け」。信は初めて、父が帳面そのものを否定していたのではなく、帳面だけで決めることを嫌っていたのかもしれないとった。

お勢が寺の入から入ってきた。女たちを何か連れており、それぞれい柄の鍬や削りを抱えている。

「に余っている具を探したの。でも、ただ集めても使いにくい物ばかりでしょう。必なにわせて直してほしい」。徳兵は丁ずつに取り、刃先の角度を見た。戦の貴な具は、属の量だけで役につわけではなかった。

その、は貸し具をに集め、誰がいつ使うか記すことにした。預けるかどうかは持ち主が決め、壊れたの修理は鍛冶が引き受ける。信はようやくつの答えが見えた気がしたが、寄が終わると佐代が彼を呼び止めた。「私、からのの桑畑へ伝いにくことになったの。鍬を貸してもらえると、仕事のがなってしまう」。図にけなかったの暮らしが、またつ姿を現した。

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