"高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった" 第18話
夜のに沈む姉の背
がけ、真の寒波が吹き荒れるの夜。 錦糸町の歓楽の裏で、私は偶然、姉の麻里奈の姿を目撃した。
宅ワークのクライアントとの打ちわせを終え、タクシーを待っていた私の線の先。 雑居ビルの非常階段ので、のコートを羽織った麻里奈が、酔客の男に肩を抱かれながら、卑屈な笑みを浮かべてをげていた。
「社ぉ、もう杯だけ付きってくださいよぉ〜。今、本当にピンチなんですぅ」 かつて私を見し、「あんたは子供ができないかられ」と笑いしていた、あのプライドの塊だった姉の面は、どこにもなかった。 化粧で隠しきれない目のの黒い隈、寒さにガタガタと震える痩せこけた脚。 男に軽くあしらわれ、千円札を数枚握らされてに取り残された麻里奈は、自販の横にしゃがみ込み、咳き込んでいた。
私はタクシーの窓越しに、その姿をややかに見つめていた。 同の涙など、滴も湧いてこなかった。
(あなたが選んだよ、お姉ちゃん)
自分の欲望のためにが子の命を危険に晒し、妹の善を嘲笑い、すべてを奪おうとしたの末。 因果応報という言葉すらぬるい、自業自得の現実がそこにあるだけだった。
、滝弁護士から報告が入った。 秀は雇いの現での作業員と暴力汰を起こしてクビになり、麻里奈のヒステリーに耐え兼ねて、ある突然、わずかな財具を持ってアパートから姿を消したという。
残された借の督促状と、滞納された賃の。 取り残された麻里奈は、賃のいさらに郊の呂なしアパートへと都落ちしていったそうだ。
がに入れたものは、何つなかった。 族も、位も、名誉も、そして互いへのすらも、すべてがのように消えり、ただたい現実のだけが、彼らの残されたを満たしていた。