"高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった" 第16話
商社の裁きと千万の借獄
滝弁護士からの告発状が届いた翌、秀は勤務先の商社において、即座にコンプライアンス委員会へと召喚された。
会議で待ち受けていたのは、徹な表の事担当役員と、直属の営業部だった。 机のに叩きつけられたのは、張報告の虚偽記載の証拠、そしてバリ島での倫写真のコピー。
『。が社はとの取引において、何よりも信用と倫理をしている。君がやったことは、単なる庭内の貞にとどまらず、業務命令に対するな背信為であり、会社の社会信用を著しく失墜させるものだ』 役員のややかな宣告に、秀はに膝をついてを擦り付けた。
『部、役員、申し訳ありません! 減でも格でも何でも受け入れます! どうか、首だけは勘弁してください……! 慰謝料の支払いもあるんです!』
しかし、会社側の判断は極めて迅速かつ無慈だった。 『就業規則違反、職務怠、ならびにな背任為により、本付で懲戒解雇とする。退職は全額支だ』
エリート商社マンとしてのキャリアの、完全な終焉だった。 同僚たちのたい線が突き刺さる、秀は私物を詰めた段ボール箱を抱え、逃げるようにオフィスビルをにした。
だが、獄はそこからが本番だった。
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私に対する慰謝料百万円と、横領した共財産百万円の返還。 退職がゼロになった秀には、括で返済できるなどどこにもなかった。 滝弁護士による公正証に基づき、秀の個名義の預座、命保険の解約返戻、さらには独代に購入していた古マンションの持ち分まで、徹底に仮差押えが執された。
元に残ったのは、雀の涙ほどの当座の活費と、完済までくかかる残債の。 「くそっ……! なんで俺がこんな目に……! 全部、あいつのせいだ!」 きを失った秀の憎悪の矛先は、かつて甘い言葉を囁きっていた――麻里奈へと向かっていった。
実を勘当され、アパートの賃も払えなくなった麻里奈と、職を失い借まみれになった秀。 はまるで、舟にしがみつく溺のように、互いの傷を舐めいながら、都内の末にある築の造ボロアパートで、同棲活を始めざるを得なくなったのだ。