みかん小説
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"高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった" 第9話

凍りついたプールサイド

『………………え?』

受話器の向こうで、グラスがタイル張りのに激突して々に砕け散る乾いた音が響いた。 国の喧騒が瞬にして消えり、受話器越しに、ヒュウ、ヒュウと喘ぐような姉の荒い呼吸音だけが聞こえてくる。

『う、嘘でしょ……? 美……何冗談言ってんのよ……笑えないんだけど……!』 「冗談? 私がそんな悪趣な冗談を言うとう?」

私の声は、絶対零度の氷壁のようにたかった。 「あなたがあの、度いをしていたちゃんを無理やり押し付けてていったの夜よ。ちゃんは性痙攣を起こして救急搬送されたわ。……何度も話したのよ? 何回も、何百回も! でもあなたの携帯は繋がらなかった!」

『う、そ……嘘よ……! だって、ただの邪だって……!』 「ただの邪じゃなかったのよ! 体内から、あなたがませた力な催眠薬の成分が検されたわ! 急性脳症よ! あの子は……たい処置で、母親の名を言も呼べないまま……!」

『いやあぁぁぁぁッ!!』 受話器が割れんばかりの、姉の絶叫が響き渡った。 その背で、慌てふためく男の声が割り込んできた。 『おい、麻里奈! どうしたんだよ、何があったんだ!?』 秀の声だった。

「あら、秀さんもそこにいるのね」 私が氷のように告げると、話の向こうで男の息が完全に止まった。 『み……美……!? な、なんで……お、どうして……』

「州に張の夫が、どうしてバリ島のプールサイドで、私の姉と緒にいるのかしらね?」

『あ……いや、これは……偶然、現で……!』

「見苦しい言い訳は、帰ってきてから警察と弁護士のでたっぷり伺うわ」 私は容赦なく言葉の刃を突き刺した。 「ちゃんの通夜と告別式は、の夜、実の菩提寺でわれるわ。……母親として、最のお別れくらいには来たらどうなの? もっとも、遺体に対面する資格があなたたちにあるとはえないけれど」

『美! 待って、美ぁぁぁッ!』

プチッ。 私は方に通話を切断し、そのまま姉と夫の着信を完全拒否に設定した。 元のスマートフォンの画面が暗転する。

「……さあ、役者は揃ったわ」 私の背で、黒い喪にを包んだ父と母が、りに燃える瞳で静かにちがった。 翌の夕方。 実の広を台にした、悪魔たちへの公処刑の幕が、静かにがろうとしていた。

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