"高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった" 第4話
夜のナースステーションと疑の芽
「美! ちゃんは!?」 母が青ざめた顔で私の肩を抱き寄せ、父もまた血った目で処置の扉を睨みつけていた。 「今、先たちがで懸命に処置をしてくれています……。急性脳症の疑いがあるって……」
私の掠れた声を聞いた父は、りで肩を震わせた。 「麻里奈のやつは何をしているんだ! 実の娘が命の境を彷徨っているというのに、母親の携帯が向に繋がらんとはどういうことだ!」 母も何度も姉へ話をかけたらしかったが、結果はすべて同じだったという。
「……秀君は、まだ張先なのかい?」 父の問いに、私はさく頷いた。 「ええ……秀さんの話も繋がらなくて。きっとホテルの部で寝ているんだとうんですけど……」
その、処置のドアがき、疲れ切った表の児科医がてきた。 「ご族の方ですね。……痙攣は投薬により治まりましたが、依然として脳圧がく、予断を許さない状態です。直ちに児集治療(PICU)へ移し、体温療法を始します。今夜からが、最のとなります」
医師のい宣告に、母はそのに崩れ落ちそうになった。 ちゃんは全にチューブとモニターのコードを巻き付けられ、い呼吸器の眠りので、PICUのガラスの向こうへと運ばれていった。
集治療のの廊に、苦しい静寂が満ちていた。
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午。母が私の背をさすりながら、ポツリと呟いた。 「……それにしても、おかしな話よね」 「え?」
「麻里奈が『急に旅にく』って言いした、秀君の張の話と、あまりにもタイミングがいすぎていないかしら」 母の言葉に、私の臓がトクンと嫌な音をてた。
「そういえば……昔からそうだったわ。麻里奈が『友達とみ会だからを預かって』って言ってくる週末、秀君も必ず『会社のみ会』や『ゴルフの泊まり』で帰ってこなかった……。美、あなた、秀君の張先はどこか聞いているの?」
「え……ええと、たしか州の支社へ営業応援にくって……」 私の声が、微かに擦った。 夫は普段から商社マンとして忙を極めていたが、具体な宿泊先やスケジュール表を私に見せたことは度もなかった。「会社の密報もあるから」という言葉を、私は疑いもせずに信じ込んでいたのだ。
だが、度に芽えた疑の種は、恐ろしいスピードで根を張り巡らせていった。 姉のSNS。 普段から自己顕示欲の塊である姉は、どこへっても必ずリアルタイムで写真を投稿する癖があった。 私は震えるでスマートフォンを取りし、姉の非公アカウント――私とごく部の友だけが閲覧できる裏アカウントのページをいた。
午分、最の投稿が更されていた。
画面に表示されたのは、息を呑むほど美しいエメラルドグリーンのプライベートビーチ。 そして、その砂浜に置かれたつのトロピカルカクテル。
キャプションには、こう記されていた。 『最のオアシスに到着♡ 煩わしい常も、子育てもぜーんぶ忘れて、するとの極バカンスの始まり♪』
そして、その写真の隅。 砂浜に置かれたサングラスのレンズの反射に――見覚えのある、夫の腕のきな傷の痕と、私がの誕にプレゼントしたオメガの限定腕計が、鮮に写り込んでいたのだ。