"離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路" 第6話
「寄虫」と呼ばれた夜
「急だね」
私が言うと、亮介はで笑った。
「急じゃないよ。俺はからうんざりしてた」
計を平等にしたいと言ったのは自分なのに、私が事の分担を求めれば「効率が悪い」と拒否する。妊娠したのをにすれば「甘え」だと言う。そんな矛盾を、亮介のでは全部私の欠点へ置き換えられていた。
「おって本当ににしがみつくよな。親から援助してもらって、結婚したら夫に養ってもらおうとして」
「養ってもらってないよ。活費はずっと半分払ってる」
「ほら、そうやってすぐの話」
何を言っても同じだった。
私が事実を説すれば、「細かい」。黙れば「反論できない」。疲れたと言えば「自己管理」。助けてほしいと言えば「寄」。
亮介の会話には、最初から私の答えが入る所などなかったのだ。
「婚されたら困るのは分かるよ」
彼は余裕の笑みを浮かべた。
「でも綾乃には持ちの親がいるから丈夫だろ。毎特の鰻でもべさせてもらえば?」
母の好まで馬鹿にされた。
それでも議と腹はたなかった。
が、もう亮介からくれていたのだとう。
「分かった。婚しよう」
「……え?」
亮介が目を見いた。
私はペンを取り、迷わず署名した。
彼は私が泣くとっていたらしい。
「ねえ、泣かないの?」
「何で?」
「いや……普通、婚って言われたら」
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「亮介が望んだんでしょう?」
そう言うと、彼は慌てたように表をえた。
「まあ、物分かりが良くて助かるよ。実を頼れる女は楽だな」
最まで勝者でいたかったのだろう。
婚届を持ってていくろ姿を見送り、私は玄関の鍵を閉めた。
しくなかった。
むしろい会議がようやく終わったような気分だった。
なぜなら、その頃には私はすでに亮介の倫を疑っていたからだ。
きっかけは、結婚記に渡されたネックレスだった。
以と同じ商品。
さらにその数、亮介のスーツから、私のものではない甘いの匂いがしたことがある。張と言っていたに、クレジットカードの利用履歴に観くのが混じっていたこともあった。
つつなら偶然に見える。
けれど積みなると、形になる。
私は母に相談した。
すると母はしばらく黙った、言った。
「綾乃。で調べるのはやめなさい」
「でも」
「あなたのお父さんに相談しましょう」
母が言う「お父さん」とは、今緒に暮らしている再婚相ではなかった。
私の実父だ。
両親は私が幼い頃に婚した。
母はその再婚したが、は憎みって別れたわけではなく、を経て族ぐるみの付きいにい関係になっていた。
実父は会社を経営している。
総資産はおよそ億円。
そして偶然にも、亮介の会社と実父の会社は、これからきな取引を始めようとしていた。
父は私の話を聞くなり、表を変えた。
「分かった。こちらでも確認する」
それからほどなくして、倫の証拠が揃った。
私は婚届をすに、それを全部確認している。
だから泣かなかった。
亮介は私を捨てたつもりだった。
けれど実際には、自分が何を失ったのかすら、まだ理解していなかった。