"離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路" 第5話
同じネックレス
「いや、これは……」
亮介は言葉を濁した。
私は勝に期待してしまったことが恥ずかしくなり、「違ったならごめん」と引こうとした。すると彼はなぜか諦めたように息を吐き、鞄から袋を取りした。
「まあいいや。はい」
「え、本当に?」
「結婚記のプレゼント」
さっきまでのしみが、瞬で吹きんだ。
ディナーが割り勘だったことも、「に執着している」と責められたことも、全部どうでもよくなった。
箱をけると、さながついた華奢なネックレスが入っていた。
「い……」
「結構かったんだからね」
亮介はそう言って笑った。
私は速首につけた。
「どう?」
「似う。絶対綾乃に似うとった」
その言葉を信じた。
やはりこのにも、私をばせたい気持ちは残っていたのだとった。
しかし翌朝から、亮介は何度も同じ話をするようになった。
「そのネックレスいいよね。結構かったんだよ」
週末にも言った。
「綾乃って恵まれてるよな。俺みたいな旦にいもの買ってもらえて」
週が経っても続いた。
「最つけてないけど、何で? かったのに」
最初は笑って「ありがとう」と返していた。
けれど、同じ言葉を何度も聞かされるうちに、首元のさながくじられるようになった。
ある夜、とうとう言った。
「もうその話、終わりにしない?」
亮介の顔が険しくなった。
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「は? せっかく買ってやったのに何その態度」
「本当に嬉しかったよ。でも、何回もかったって言われると……」
私は迷った末に、ずっと黙っていたことをにした。
「それに、このネックレスね。にも全く同じものをもらってる」
亮介の表が止まった。
「付きってた頃の記に、同じネックレスをくれたよ」
沈黙が落ちた。
私は贈り物の値段もブランドも気にしていなかった。
だから同じ物でもいいとっていた。
ただ、亮介は「綾乃に似うとって選んだ」と言った。
以何を贈ったのかすら覚えていないなら、その言葉は体何だったのだろう。
「別に責めるつもりじゃないよ。ただ、そんなにかったって何度も言われると――」
「だったら返せよ!」
亮介が突然鳴った。
私の首からネックレスを乱暴にした。
「同じだ何だって文句言いやがって。げない女だな」
「文句じゃないよ」
「もう度と何も買わない」
亮介はネックレスを握りしめ、寝へ入っていった。
その夜から、私たちのの空気は完全に変わった。
会話は減り、亮介の帰宅はますます遅くなった。
方で、仕事の自だけは増えていった。
「次の超型プロジェクト、俺が担当になる」
ある夜、久しぶりにく帰宅していた亮介はそう言った。
「会社の今をする案件らしい。も俺に期待してる」
「そうなんだ」
「まあ当然だよな。同期ので番結果してるし」
私は黙って夕を並べた。
すると亮介は突然、枚のをテーブルへ置いた。
「ところで」
そこには、すでに彼の署名があった。
婚届だった。
「婚しよう」
私はを見た。
亮介はく笑った。
「俺、これからもっとにくからさ。を引っ張るはいらないんだよね」
そして私の目をまっすぐ見ながら、こう言った。
「綾乃にとって結婚って、親から夫に寄先を変えることだったんだろ?」
けれどこの、亮介はらなかった。
私がすでに、彼の鞄からてきた「あのネックレス」について調べ始めていたことを。
そして同じ頃、私の父もまた、亮介について別の調査を始めていたことを。