"離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路" 第1話
婚翌、ホテルの個で
「綾乃にとって結婚って、親から夫に寄先を変えることだったんだよね」
婚届を差しした、亮介はそう言って笑った。
あまり夫婦として暮らしてきた相に向ける顔ではなかった。けれど、もう驚かなかった。計を円単位まで折半しながら、事はすべて私に任せ、疲れたと言えば「自己管理ができていない」と笑う。そんなと暮らしているうちに、私のに残っていたは、とうにい膜のようになっていた。
「分かった。婚しよう」
泣きもせず、引き止めもしない私を見て、亮介は瞬だけ拍子抜けしたようだった。
それでもすぐに勝ち誇った表へ戻り、「物分かりが良くて助かるよ。まあ、実がある女は楽だよな」と最まで嫌を忘れなかった。
そして婚届が正式に受理された翌。
私は都内の流ホテルにある本料理を訪れていた。
案内された個にはきな窓があり、入れされた本庭園が静かに広がっている。昨までの慌ただしさが嘘のようで、私は温かいお茶をみながら、向かいに座る髪交じりの男性の話を聞いていた。
「変だったな」
「うん。でも、ったより平気」
男性はし困ったように笑った。
価そうな紺のスーツを自然に着こなしているが、私にとっては昔から変わらないだった。
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仕事では勢の社員を率いる経営者でも、私のでは配性で、事をすると必ず「りるか」と聞いてくる。
そんな穏やかなを破ったのは、聞き覚えのある声だった。
「……あれ? なんでおがここにいるんだ?」
個の入に亮介がっていた。
婚したばかりの元夫と、まさか翌に顔をわせるとはわなかった。亮介のろには、派な化粧をした若い女性がいる。体に沿ったスーツを着て、まるで自分がこのの主役であるかのように胸を張っていた。
亮介は部のをろくに確認しないまま、私の顔を見るなり元を歪めた。
「婚してでこれ? もう次の男を捕まえたんだ」
私は答えなかった。
すると彼はますます調子に乗った。
「本当にじゃきられないんだな。今度は随分じゃん。持ってそうだし、また持ちに寄か?」
ろの女性が吹きした。
「うわ、すぎ。元奥さん、すごいですね」
の笑い声が静かな個に響く。
私は箸を置いた。
りより先に呆れが湧いた。昨まで妻だった女性に向かって、仕事先らしいホテルで、初対面の相まで巻き込みながらこんな言葉を浴びせる。その浅はかさこそ、私が結婚活ので何度も見てきた亮介そのものだった。
「亮介。やめた方がいいよ」
「何が?」
「そのが誰なのか、ちゃんと確認してから話した方がいい」
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私の忠告を、彼はで笑った。
「はいはい。そうやって男のろに隠れるところも変わってないな」
その瞬だった。
向かいに座っていた男性が、ゆっくりちがった。
それまで私に向けていた柔らかな表が消えている。
「川岸さん」
く落ち着いた声が響いた。
亮介の肩がびくりと揺れた。
「言いたいことは、それだけですか?」
その言を聞いた途端、亮介の顔から笑みが消えた。
ろにいた女性も、男性の顔をまじまじと見つめ、次の瞬、息を呑んだ。
「……え」
女性の元が震えた。
そしてさな声で、亮介の腕を掴んだ。
「ちょっと……この……」
亮介は返事をしなかった。
額に、みるみる汗が浮かんでいく。
昨まで「俺は会社で期待されている」「次の型プロジェクトは俺にしか任せられない」と自していた男が、急に声を失っていた。
私はその姿を見ながら、数、亮介と付きい始めた頃のことをいしていた。
あの頃の私はまだ、このの「理」という言葉を、誠実さだとい込んでいた。