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"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第12話

へ曲がる

丘線の午の便は、予定より何も遅れてきした。運転を任されたのは清徳だった。は「今の最初の便を断ったに、しい便を任せる」と言ったが、その言葉には励ましも皮肉もなかった。清徳は席へ座り、ミラーの位置を調した。両の仕組みが変わっても、乗せたを全に送り届ける責任だけは変わらない。

庫には苗が乗するへ、予定している全な所をずつ説していた。聞き慣れない名に首をかしげるがいると、くのや横断歩を目印に言い直した。清徳はその説を運転席から聞き、りすにできることがこんなにもいのかと驚いた。乗る側が今の予定を理解しなければ、内でのさな戸惑いが留所での危険につながる。

最初の交差点で、清徳はくも自分の癖に気づいた。曲がる、目が無識に古い位置を確かめようとする。では側通と分かっているのに、の習慣がより先にこうとするのだ。彼は速度を落とし、標識と対向の位置を丁寧に確かめてから曲がった。ろの席では客がしのめりになったが、誰も急げとは言わなかった。

坂のほどで自用が台、迷ったように線の央へてきた。清徳はすぐに減速してし、相がむ方向を見極めた。

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若い運転らしい男性は、窓越しに何度もをげた。清徳はくをげただけで、急かさずに待った。相の違いを指摘することと、危険を広げないことは別の仕事だった。

丘丁目にはまらなかった。変更された乗所はまだ使えず、苗が案内した別の全な所まで乗客を運ぶことになっていた。窓から見えたハルの雑貨には、きな字で臨の乗り方案内が貼られている。先の子に座る老が、バスへ向かってゆっくりを振った。清徳は図を返した。今朝なら自分も慌ててしようとしたかもしれない。それが今は、ここで止まってはいけない理由をっている。

内にいたの男性が、通り過ぎた留所を振り返って言った。「あそこでりられればかったのに」。清徳は運の途でい説をしなかった。代わりに次の全な所でまり、そこから目までの歩き方を案内した。歩く距が増えることを謝ると、男性は「そんなことまで運転のせいにできないよ」と言った。清徳は救われるような気がしたが、すぐに気を引き締めた。困るがいること自体は変わらないのだから。

折り返し点で苗から話連絡が入った。休憩のため両を正しくめ、清徳が営業所へかけ直すと、丘沿線の別の乗所でも具が見つかったという。

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しい標識の位置から乗るためには、横断歩まで回りしなければならず、をしようとする児童が増えていた。清徳は図へしい印をつけた。ので起きることを、全部度の点検で拾い切ることはできない。

帰、内に学の連れが乗ってきた。朝からの旗を振っていた兄妹で、母親は別の用事を済ませて先に帰ったという。兄は清徳の名札を見て尋ねた。「おじさん、朝のバスは壊れてたの?」。清徳は首を振った。「くだった。でも、を全に乗せられるじゃなかった」。はしばらく考えたあと、「れればいいってことじゃないんだね」と言った。

清徳はその言葉を胸にしまった。子どもはの理屈を全部らない。それでも、事なところだけは見抜くことがある。運転の仕事も似ていた。すべての法律や図面を暗記しているわけではなくても、目ので誰かが危険な所へをすなら、止めなければならない。

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