みかん小説
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"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第6話

坂の靴

丘丁目へ向かう途、清徳の乗ったタクシーは交差点で何度も止めされた。営業所で配したであり、運転しているのは元のをり尽くした配の男だった。それでもしい交通の流れには苦労している。「のが折するのを見て、こっちまで瞬、昔の方へきそうになりましたよ」。男は笑おうとしたが、清徳の顔を見ると黙り込んだ。

現には警察官と所の民が集まっていた。号はの端にまり、乗のに片方だけ子どもの靴が転がっている。清徳はそれを見た、胸の奥をく殴られたようにじた。靴は真しく、紐を結ぶ部分に赤い糸が通してあった。母親が違えないようにつけたものかもしれない。

歳の比嘉浩は、臨乗所で父親と緒にバスを待っていた。号は本来、乗客を載せずに回送するはずだったが、父親がを振ったため、誠は空きに入れようとを寄せた。そこで側の扉をけた、浩は乗りへづこうとして側へ踏みした。危険に気づいた父親が腕を引いたものの、浩はを取られ、との段差へ転んだ。首を痛め、てなくなったのだという。

「きなが来たわけではなかったんです。ただ、どこから乗ればいいのか分からなかった」

浩の父・比嘉勝は、そう言ってうつむいた。

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子どもは既にくの診療所へ運ばれていた。救急を呼ぶか迷ったが、警察官の案内で診療所に連絡がつき、族が付き添ったという。清徳はくをげた。だが父親は彼の制を見て尋ねた。「あんたが運転していたんですか」。違う、と答えることは簡単だった。自分が止めたを別の運転がしたのだから、直接の責任を免れようとえばいくらでも言い方がある。

「私が、このは全に乗りりできないと話した運転です。止め切れませんでした」

勝は黙った。清徳はその目を避けなかった。親がりたい相は、誰がどの指示をしたかより、目ので子どもを転ばせたバス会社だった。清徳は自分が何を言っても言い訳に聞こえることをっていた。

誠は運転席で震えていた。警察官に事を説した、子を膝のでねじっている。「乗せろと言われたんです。でも、あそこで扉をいたのは俺です」。清徳は運転席の横へった。「そうだ。そこはごまかせない」。誠の肩が落ちた。清徳は続けた。「だからこそ、誰が何を命じたかも全部話せ。おだけのせいにして終わらせたら、また同じがる」。

現を調べると、号の側の扉はしく設けられた乗所の反対側を向く形になっていた。誠は乗客を拾う予定ではなかったため、いつものようにさせればよいとい込んでいた。

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運転席から見えたのは、を振る父子の姿だけだった。清徳は体との位置を確かめ、扉のへってみた。自分のが今朝の浩と同じ所へる。それだけで事故の仕組みは理解できた。

診療所から連絡が入った。浩は首に骨折が疑われ、病院でさらに診てもらうことになったという。清徳は誠とともに付き添いを申したが、勝は「いまは族だけできます」と断った。その言葉は当然だった。清徳は医療関への移に必なの配だけを苗に頼んだ。会社のを勝に使わせるのではなく、許を得た営業を回すようにと付け加えた。

坂の向こうでは、別の型バスがゆっくりと側線をっていった。清徳はそのろ姿を見ながら、った。号を止めれば話が済むのではない。も、留所も、乗るの習慣も、こので緒に変わらなければならないのだ。

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