みかん小説
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"昭和53年、満員の始発を止めた運転手――その後、坂道で起きた悲劇" 第4話

もう台のバス

午分、は隣の営業所からしいを借りる話をまとめた。だがそのが到着するには分以かかる。しかも借用できるには限りがあった。苗は刻表をね、丘線のりとりを本にまとめられないか計算していた。清徳は客のき先を見直し、乗り換えの必なを先に送る案をした。

「それでは坂のにむが置きりになります」と苗が言う。「置きりにはしない。順番を変えるだけだ」と清徳は答えたが、自分の言葉がいかにいか分かっていた。順番を変えると言うのは簡単だ。だが実際にバスが戻るまで待たされるにとっては、そのが暮らしを変えてしまうこともある。

信子は受付刻に遅れると病院へ話した。苗が横で番号を回し、担当者に事を説したところ、診察の順をへかせる能性があるという。すべてを解決したわけではないが、信子の表に初めてわずかな余裕がまれた。「話本で済むことを、私はさっきから誰にっていたんでしょうね」。清徳は答えなかった。自分が同じなら、やはりったはずだった。

方、の様子は刻々と変わっていた。側通に慣れない自用が曲がる方向を迷い、交差点ごとに警察官の笛が響く。

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営業所へ戻ってくる運転からは、板の見えにくい所や、しい留所を見つけられずにち尽くす老の話が相次いだ。苗のメモ帳は数分ごとに埋まっていく。

「これでは全部の線を止めなきゃならんのか」とは吐き捨てた。清徳は首を横に振った。「危ない所と危なくない所を分けるんです。分からないなら、確かめてからる」。これまでの経験では、運転は異変があっても『何とかする』ことを褒められてきた。きょう清徳が言おうとしているのは、その逆だった。何とかしてはいけないもある、ということだった。

事務所の壁にはしい交通方式をらせるきなポスターが貼られていた。真んに『は、は』と太い字がある。通の向きはその通りでも、りるの元には段差があり、体のろから自転がづく。ポスターに描かれたったのには、病院へ急ぐタエも、杖をつく寄りもいなかった。

午すぎ、若い運転の誠が庫に戻ってきた。誠は清徳より歳以若く、運転は丁寧だがの言いつけには逆らえない男だった。しい両の回送を担当していたはずなのに、なぜか旧型バスの鍵をにしている。は誠を別へ呼び、扉を閉めて何事かを話し始めた。

苗が清徳の腕を引いた。

「主任が、別のコースなら古いを使えると言っています」。清徳はわず聞き返した。「別のコースというのは、どこだ」。苗は答えた。「通りをらず、側のを回れば留所での乗を減らせると」。清徳は背筋に寒いものをじた。留所を減らしたところで、側の扉が全になるわけではない。

清徳が別の扉をけた、誠はすでに子をかぶっていた。「、をかすな」。そう言うと誠は気まずそうに線をした。「先輩、子どもを乗せるわけじゃありませんから」。その言い方が、清徳をいっそうにさせた。の扉がく先を決めるのは、乗る客の齢ではなかった。

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