"赤ペンで消した夫" 第15話
国の倉庫へ
の半ば、版の社内報に、さな事異の告が掲載された。
『文芸第部編集・黒沢也 解任。物流センター管理課付を命ず』
懲戒解雇こそ、過の功績と子による被害弁償の確約を考慮して免れたものの、それは版界における完全な刑宣告に等しかった。 き先は、青森県の部に位置する巨な籍保管倉庫。 華やかな座の文壇バーも、作たちの社交界も、スポットライトもしない。 ただ、氷点の吹き曝しの、フォークリフトがき交い、返品された文庫本や雑誌のを黙々と検品・廃棄処分するだけの、吹き溜まりの部署だった。
発のの朝、京駅の幹線ホーム。 物のダウンジャケットを羽織った也は、ボストンバッグつを元に置き、寒に震えながらち尽くしていた。 見送りに来る者など、社内には誰としていなかった。 かつて彼に媚び諂い、宴席で太鼓持ちをしていた輩編集者たちも、のひらを返したように連絡を絶っていた。
也のスマートフォンが鳴った。 表示されたのは、子の代理である柴田弁護士の番号だった。 恐る恐る通話ボタンを押す。
『黒沢也さんですね。広尾のマンションの売却続き、ならびに財産分与と慰謝料の清算がすべて完いたしました』 柴田弁護士の械な声が告げる。
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『売却益から宅ローン残債を精算した残額の全額、ならびにあなたの個座の残から、慰謝料千万円と横領の会社弁済分が差し引かれました。……あなたの元に残る財産は、事にした通り、現万円のみとなります』
「さ、万……!? そんな端で、どうやって国で暮らせっていうんだ!」 也が鳴をげたが、柴田弁護士は切取りわなかった。
『自業自得です。なお、今の与につきましても、未払いの残余があるは差し押さえの対象となりますのでご承おきください。それでは、失礼いたします』
ツーツーツー、と無質な切断音が響いた。 也のから、スマートフォンがポロリと滑り落ちそうになる。 元に残されたのは、万円の残が入った通帳と、片切符だけ。
幹線の発ベルが、たいに乗って鳴り響いた。 乗り込む客たちの群れに押されながら、也はい取りで内へと消えていった。 かつて妻の真を嘲笑い、の才能を奪って笑いしていた男の背は、のる国へ向かう鉄の塊のに、さく呑み込まれていったのだった。