"赤ペンで消した夫" 第13話
虚飾の作の落
同じの午。本社階の応接スペースに、朝倉希が呼びされていた。 いつもの甘いを漂わせ、淡い桃のニットを着こなしていたが、その瞳は怯えきって泳いでいた。 対面に座った法務部の担当官名が、無表に類を差しす。
「朝倉希さん。あなたに対する第回文芸賞へのノミネートは、本付をもって正式に取り消しとなりました。理由はお分かりですね」
「な、なんでですか……!?」 希は声を震わせ、膝ののバッグを握りしめた。 「私は懸命きました! 編集だって、素らしい才能だって褒めてくれたのに! ただし直してもらっただけじゃないですか!」
「し、ではありません」 担当官が酷に告げた。 「提された原稿の割以が、黒沢編集による代であることが子・言語学に証されました。これは文学賞に対するな詐欺為であり、偽計業務妨害に該当します。本来であれば刑事告訴に踏み切る事案ですが、今回はエントリーの取消と、が社が発するすべての媒体への今の執禁止処分にとどめます」
「永久追放……!?」 希の顔が引き攣った。 「嘘でしょ……そんなの困ります! 私、来から座のカルチャーセンターで説講座の講師をやることも決まっていて、SNSでももうフォロワーが何万もいて……! 編集を呼んでください! 編集が私の才能を守るって約束してくれたんです!」
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「黒沢編集は先ほど、懲戒処分がされるまで自宅待を命じられ、社内から退させられました」 担当官は切の同を挟まずに告げた。 「それから、朝倉さん。あなたが過半に黒沢氏から受け取っていたとされる級ホテルでのやエステの代について、黒沢氏が会社の資を横領していた事実が確認されました。被害弁償の続きに伴い、あなた個に対しても民事の返還請求、ならびに黒沢氏の配偶者からの慰謝料請求訴訟が提起される予定です」
「慰謝料……? あ、あの奥さんから……!?」 希の脳裏に、数の喫茶で対面した子の姿が鮮烈に蘇った。 『あなたの言葉はどこにあるのかしら』 穏やかな微笑みの奥で、たく自分を見透かしていたあのな妻。 自分が見し、勝利を誇示しようとした相が、最初からすべてをったで、自らを撃で破滅させる罠の引きを引いていたのだ。
「嫌……嫌ぁぁぁっ!!」 希は取り乱して叫び、を塞いでちがった。 周囲の社員たちの淡な線が、刃のように彼女の体に突き刺さる。 彼女が誇り、に纏っていた「期待の美作」というっぺらいは、無惨にも剥ぎ取られ、に塗れたただの共犯者として、のへと追いされていった。