"夫のいない四日間" 第14話
射すへ
季節は巡り、再び満の桜がをに染めげるが訪れた。
学期を迎えた美は、学になった。背もし伸び、自分で選んだのランドセルを軽やかに背負って、毎朝元気に玄関をびしていく。
「ママ、ってきまーす! 今は放課、図館で本を借りてくるね!」
「いってらっしゃい、に気をつけてね!」
バルコニーからを振ると、美は振り返り、満面の笑みできくを振り返して角を曲がっていった。
その取りには、かつて父親の顔を窺い、庭の苦しい空気に怯えていたは微も残っていなかった。
リビングに戻り、淹れたてのコーヒーの湯気を吸い込む。
斎のデスクには、文芸誌に掲載された私のしい編説が届いていた。巻末の著者には、以のような疲弊した主婦の姿ではなく、自分ので凛とつの職業としての私の姿が写っていた。
ふと、デスクの引きしの奥にしまってある、あのの解約通の控えに目が留まった。
『あなたが守らなかったものを、私は守ります。』
あの、夫に突きつけたあの。
博之は、族を守らなかった。妻の信頼を守らず、娘の未来を守らず、男としての誇りすらも守らなかった。そして親友だった裕子もまた、友を守らず、自らの庭を守らなかった。
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守るべきに守るべきものを放した者たちは、今ものでその罪を背負い、たいに吹かれながら彷徨い続けている。
しかし、私は守り抜いた。
娘の笑顔を、の活を、そして何より、自分自の尊厳とき方を。
チャイムが鳴り、玄関のドアをけると、そこには類の束を抱えた兄の慶介がっていた。
「よ、里美。事務所の確定申告、無事に終わったぞ。おの刊の特設サイトのデザインもがってきたから、チェックしてくれ」
「ありがとう、お兄ちゃん。がって、コーヒー淹れるね」
「おう。美ちゃんはもう学ったか?」
「ええ、元気にびしてったわ」
のない常の会話。屈託のない笑い声。
かつて私が喉からがるほど欲していた、温かく穏やかな「本当の庭」が、今、この所に確かに息づいていた。
は、きな過ちによってのみ破滅するのではない。
常のに転がるさな嘘をね、切なの涙から目を背け、自らの欲望に甘えたその瞬に、未来を永に踏みすのだ。
そして、どんな絶望の淵にたされようとも、自らのでちがり、守るべきもののために覚悟を決めた者には、必ずしいが差し込んでくる。
バルコニーへると、柔らかなが私の頬を優しく撫で、桜のびらを青空へといげていった。
あふれるへ向かって、私たちはこれからも、揺るぎない確かな取りで歩み続けていく。