"夫のいない四日間" 第10話
まみれの贖罪
京・湾岸エリアの埋。午分。
京湾から吹き付ける氷のようにたいが、事現の仮囲いを激しく揺らしていた。朝焼けのすら届かない暗がりの、黄いヘルメットにまみれの作業着を着た博之は、凍え切った指先でツルハシを握りしめ、固く凍りついた赤を必に掘り返していた。
「おい、田! が止まってんぞ! さっさと嚢袋に詰めろ!」
作業主任の荒々しい号がぶ。
「は、はい! すみません!」
博之はいつくばるようにしてを掻き集め、麻袋へと詰め込んでいく。腰には鉛を埋め込まれたような激痛がり、のひらには潰れたマメから血が滲んでいた。
庭裁判所での調は、結局、里美側の求がほぼ全面に認められる形で成した。
博之には、慰謝料と正利用分の返還、そして毎の養育費をわせた総額百万円い債務が、公正証による制執認諾文言付きで課せられた。度でも支払いが滞れば、即座に座や与が差し押さえられる。
のブランクがある代半ばの元営業マンに、まともな正社員の受け皿などあるはずもなかった。面接を社以受けても、すべて類選考か次面接で落とされた。
結局、彼が就くことができたのは、払いの事の作業員と、夜の産業廃棄物処理での分別作業の掛け持ちだった。
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午は事現でと汗にまみれ、夕方にだけ仮眠を取り、夜から翌朝までは処理でベルトコンベアから流れてくる異臭を放つ廃棄物を仕分ける。
にする当は、つの現をわせて万数千円。しかし、その半は弁護士の管理座へと自に吸い込まれていく。
博之が暮らしているのは、都荒川線の線脇にある、築の造畳半。呂はなく、トイレは共同。いベニヤ板の壁からは隣ののいびきが筒抜けで、は隙が容赦なく畳をやす。
夕は、値引きシールの貼られた百円のカップ麺と、スーパーの廃棄寸のパンの。
「クソッ……クソッ……なんで俺が、こんなところで……」
え切った畳ので、博之はい毛布にくるまりながら震えていた。
ふと、胸ポケットから取りした古いスマートフォンを見る。画面の待ち受けには、かつて美が歳の頃、ディズニーランドで自分の肩に乗って無邪気に笑っている写真が残っていた。
『パパ、だいすき!』
幼い娘の鈴を転がすような笑い声が、の奥で鮮に蘇る。
あの頃は、まだ幸せだった。里美も優しく微笑み、族で囲む卓にはいつも温かい料理が並んでいた。
それを、すべて自分の浅ましい見栄とらない性欲のために、自らのでゴミ箱へ投げ捨てたのだ。
「美……里美……悪かった……俺が悪かったよ……!」
暗の部で、博之は声を殺して嗚咽した。
しかし、どれほど涙を流そうと、剥がれた爪の痛みに悶えようと、失われた歳と信頼は度と戻らない。彼にはただ、自らが積みげた罪の瓦礫を、かけてまみれになって運び続けるしか残されていないのだ。