"夫のいない四日間" 第4話
旅ちの夜と最の温
沖縄旅の夜。
自宅のリビングには、異様なまでの静寂が広がっていた。博之は自分の部で交じりにトランクをけ、真しいアロハシャツやリゾート用のスイムウェアを嬉々として詰め込んでいた。浮気相との国旅をに、完全に頂になり、元のだらしない笑みが隠しきれていない。
私は淹れたての温かいコーヒーをつのマグカップに注ぎ、彼の部のドアを軽くノックした。
「博之、コーヒー淹れたよ」
「お、サンキュー。ちょうどしたかったんだ」
博之はマグカップを受け取り、ソファーにどっかりと腰をろした。元には、パンパンに膨らんだ型のスーツケースが鎮座している。
「から、本当にかけるの?」
私が静かに問いかけると、博之は瞬だけ線を泳がせ、すぐにげさな振りでマグカップを揺らした。
「言っただろ、学代の男友達とく温泉旅だよ。急に休みがったからさ、男同士でたまには羽を伸ばしてこようとってね。毎の遣いの範囲でやり繰りしてくんだから、おに迷惑はかけないよ」
遣いの範囲。私のサブカードで数万のブランド品を買い漁り、ハレクラニの最級スイートルームを予約しておきながら、平然とそんな嘘を吐く。その図々しさと浅ましさに、胃の奥から黒いりが込みげた。
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だが、私はを切表にさず、かつてないほどく、澄んだ声で夫の目をまっすぐに見据えた。
「ねえ、博之。それ、本当に『友達』なの?」
博之のがピクリと止まり、コーヒーの表面がかすかに波打った。
「な、なんだよ急に。友達に決まってんだろ! お、俺を疑ってんのか!? 毎で仕事ばっかりしてるからって、被害妄逞しくするなよな!」
声を荒らげて見せることで、自らのろめたさを威嚇で覆い隠そうとする男の常套段。
もし、この瞬。
彼が「すまない、本当は嘘をついていた」と状し、畳にを擦り付けて謝罪していたなら。浮気の事実は絶対に許せなくとも、弁護士を通じた粛々とした協議婚と、分割による慰謝料の支払いで、社会な破滅までは追い込まずに済ませてやろうという、のけが私のにほんのしだけ残っていた。
しかし、博之は自らので、その最の蜘蛛の糸を断ち切ったのだ。
「……そう。分かったわ。羽目をしすぎないようにね」
「おう、当たりだろ。は朝いから、もう寝るわ」
背を向けてベッドに潜り込む夫を見届け、私は静かに部のドアを閉めた。
翌朝、午。
私がリビングへた、すでに博之の姿はから消え失せていた。玄関には、彼が履き替えた古いスニーカーが乱暴に脱ぎ捨てられていた。
私は斎の机の引きしをけた。
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予通り、奥くにしまってあった私のサブクレジットカードは、跡形もなく消えっていた。
即座にスマートフォンを取りし、クレジットカード会社の盗難・紛失専用デスクへ話をかける。
『お話ありがとうございます。セキュリティセンターでございます』
「私名義のカードについて、盗難の被害届を提し、即の利用止をお願いしたいのですが。カード番号は——」
オペレーターによる本確認を経て、ものの分でカードの全能が止された。沖縄のリゾートホテルでの決済も、レストランでの豪遊も、彼が懐に忍ばせているカードは、今この瞬をもって単なる無価値なプラスチックの板と化したのだ。
「ママ、おはよう!」
廊の奥から、元気な美の声が響いた。すでにリュックサックを背負い、満面の笑みを浮かべている。
「ママ、今だよね? お引っ越し! しいおにくの、今でしょ?」
キラキラと輝く娘の瞳を見た瞬、私のにあった最のモヤモヤは、完全にれ渡った。
「そうよ、美。準備は全部終わったわ。しいおへ、発しましょう!」
午、兄の慶介が配してくれた型の引っ越しトラックが自宅のに横付けされた。
私と美の具、、類、本、いの品々は、際よくトラックの荷台へと積み込まれていく。
そして最に残されたのは——博之の類、靴、ゴルフバッグ、ゲーム、私物の切切を詰め込んだ、数個の巨な段ボール箱だった。
私は運送会社の伝票に、迷いのない致で届け先の所と氏名を記入した。
『お届け先:京都世田区〇〇 井様方 井輔様(裕子の夫)気付』
「よし、これで完璧ね」
トラックがりり、がらんとした空っぽのリビングにち、私は鍵を内側のドアノブに引っかけ、度と戻らないがの扉を力く閉ざした。