"義両親をこき使う伯父に、嫁の私が反撃した日" 第10話
夫のブレーキと、私の傲
「奈央」 静かな、く落ち着いた声だった。 健太が私の腕に、そっとを置いた。
「……え? 健太、どうしたの? あなただって悔しかったでしょう? この証拠があれば、伯父さんたちをギャフンと言わせられるよ!」 私はのめりになって夫を見つめ返した。 当然、賛同してくれるものだとっていた。緒に戦ってくれると信じて疑わなかった。
しかし、健太のからたのは、私の燃え盛る勢いにを浴びせかけるような、な言だった。
「親父とお袋……それ、やってほしいって言ったか?」
「……え?」 私の考が、ピタリと止した。
「奈央が、親父たちのためにってくれてるのは痛いほど分かるよ。俺だって、今すぐ伯父さんのへ鳴り込んで、この計簿を顔面に叩きつけてやりたいさ」 健太は机のの古い計簿へ線を落とし、それから私を真っ直ぐに見据えた。 「でもさ……これは、親父とお袋のの話だろ」
「ふたりの……話……?」
「ああ。奈央がにて、完璧な証拠で伯父さんを論破して、親戚ので恥をかかせたとしよう。そのはスカッとするかもしれない。でも、その、親父とお袋はどうなる?」 健太の静かな問いが、私の胸の奥くに突き刺さった。
「自分で声をげられなかった親父たちは、きっと奈央のろでオロオロして、申し訳なさそうに縮こまるだけだ。
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『嫁がうるさいから、もう関わらないでおこう』って、親戚から腫れ物扱いされるだけだろ。それじゃ……親父たちは、いつまで経っても自分のでてないじゃないか」
「あ……」 私の喉から、声にならない吐息が漏れた。
健太の言葉は、私のの奥底にあった醜いエゴを、容赦なく抉りしていた。 私は義父母を助けたいだったはずだ。 だが、その実態はどうだったか。 「気の毒な義父母を救ってやる正義のヒロイン」に酔いしれ、義父母から「自分で決断し、自分の声で尊厳を取り戻す会」を奪おうとしていたのではないか。
親戚たちが義父母を「者」として見し、都よく支配してきたのと同様に、私もまた、義父母を「守られるべき無力な」と決めつけ、から目線で救済しようとしていたのだ。 その傲さに気づいた瞬、カッと顔からがるほどの羞恥が全を駆け巡った。
「……ごめんなさい」 私は座布団のにをつき、義父と義母に向かってくをげた。 「私……本当にいがっていました。過ぎた真似をして、すみませんでした」
「いやいや! 奈央さん、をげておくれ!」 義父が慌ててを振った。 義母も涙を浮かべながら、私のを優しく包み込んでくれた。 「奈央ちゃん、謝る必なんてないのよ。私たちのためにそこまで本気でってくれたこと……それだけで、胸のつかえが半分取れたような気がしたんだから」
私は呼吸をし、姿勢を正した。 が敷いたレールので戦ってもはない。 「お義父さん、お義母さん。私が代わりに戦うことはしません。……でも、教えてください。おは、本当は、どうしたいのですか?」