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"義両親をこき使う伯父に、嫁の私が反撃した日" 第8話

古びた計簿と赤いペンの軌跡

義母の典子さんが両で抱えてきたのは、角の擦り切れた古びた布張りの文庫箱だった。 湿布薬と樟脳の匂いがかすかに漂うその箱を、義母は恐る恐る、まるで壊れやすい骨董品を扱うかのように、居の座卓の央に置いた。

パチン、と具がされ、蓋がけられる。 に入っていたのは、表が経劣化で飴に変した何冊もの学ノートと、輪ゴムで束ねられたの振込受取の束だった。

「お義母さん、これは……?」 私の問いに、義母は掠れた声で答えた。 「……あの頃の、計簿よ。から、返済が終わるまでの、も欠かさずにつけていた記録なの」

私は息を呑み、番にあったノートをめくった。 黄ばんだ面には、几帳面で丸みを帯びた義母の跡が、ミリ単位の狂いもなく並んでいた。 『費:キャベツ半玉円、もやし袋円』 『費節約分:気代千百円浮かす』 『健太の学用品:ノート冊円』 極限まで切り詰められた、血の滲むような活の痕跡。 そして、毎の収支の最終には、必ず赤いボールペンで線が引かれ、力い文字でこう記されていた。

『国男兄さんへ返済:万円(残百万円)』 『国男兄さんへ返済:万円(残百万円)』

ページをめくるが、震えた。

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のボーナスがたには『万円振込』、のボーナスでも『万円振込』。 活費を極限まで削り、も旅も切せず、術のった体に鞭打って内職の造作りをしながら、義父母は毎、毎、愚直にを返し続けていたのだ。

ノートに挟まれていたの振込受取も、付順に美しくファイリングされていた。 振込先座は――違いなく、『国男』の普通預座。 そして、最の平成の受取には、こう記されていた。 『振込額:万円(元残額万円+御礼万円)』

義父の隆さんが、い目をしながら静かに語りした。 「……兄貴の好に甘えちゃいけないとってね。典子とで必に働いて、かけて百万円を全額返した。最のには、謝の気持ちとして利子代わりに万円を乗せして振り込んだんだ。兄貴からも当、『確かに全額受け取った、よく頑張ったな』と話をもらったんだよ」

「……っ!」 隣に座る健太が、奥歯をギリリと鳴らした。 机を叩かんばかりの勢いでを乗りす。 「親父、それなら……なんで今の法事で黙ってたんだよ! 全額返したって、もに終わった話だって、なんで親戚ので言も言わなかったんだ!」

健太の号にも似た叫びに対し、義父はただ困ったように眉をげ、力なく笑うだけだった。

「健太……そんなこと、親戚のでわざわざ言うことじゃないだろう。兄貴が困ったにを差し伸べてくれたのは事実なんだ。おを返したからって、恩まで消えるわけじゃない。親戚で『を返した』なんて言いふらせば、兄貴の顔を潰すことになる。兄貴が『助けてやった』と言いたいなら、言わせておけばいいんだよ。私がをげて笑っていれば、親族皆が丸く収まるんだから」

「丸く収まる……? 親父、本気でそんなこと言ってるのか!?」 健太の叫びが、静まり返った居に霊した。

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