"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第17話
億円より切だったもの
建物の状態を詳しく検討した結果、すぐに売却するのではなく、まず必な補と規模改修をうことにした。
のに職が入り、古い壁がされ、材が剥がされ、傷んだ部分がしずつしくなっていく。
義母が毎りりしていた急な階段も事対象となった。
むきしになった柱を見げながら、孝志が「っていな」と呟いた。
「そうね」
「母さんがんでた跡、ほとんど消えるな」
「活した事実まで消えるわけじゃないわ」
私は庭へ目を向けた。
義母が毎朝入れしていた々だけは残すことにした。
あのがこのを切にしなかったわけではない。
問題は、切にしたことを「所する権利」へ変えてしまったことだ。
謝すべきことと、譲れない境界は両する。
私はようやくそれを理解できた。
「改修が終わったら、本当にどうする?」
孝志がまた聞いてきた。
「売るか、貸すか、それともむか」
「まだ決めない」
「本当に?」
「しつこいわね」
わず笑うと、孝志も笑った。
「だって億円だぞ」
「だから何?」
夫が目を丸くした。
「億でも億でも、私には同じよ」
私は改修のを見回した。
ほど、義母は親族ので、このを誰に渡すか勝に決めた。
あのの私は、所者であるにもかかわらず、説する側に追いやられた。
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ところが今は違う。
売らなくてもいい。
まなくてもいい。
すぐに答えをさなくてもいい。
誰からもせかされず、自分で考えられる。
本当に財産を所するということは、い値段を自することでも、誰かを従わせることでもない。
決定権を自分で持つことだ。
、私は登記その権利を持っていた。
でも理には、ずっと義母の見栄と親族の空気に譲り続けていた。
だからこそ今、「まだ決めない」と言えることが何よりうれしかった。
その。
公平から話が来た。
「姉さん、来、母さんの歳の誕なんです」
ちょうど。
古希祝いで全てが壊れた。
「今は母さん、きな宴会はいらないって言ってます。俺と兄貴と、母さんだけでさくやろうとってたんですけど……」
公平がし言いにくそうに続けた。
「母さんが、もしよかったら姉さんにも来てほしいって」
私はすぐには答えなかった。
義母とまともに顔をわせるのは、引っ越し以来だった。
それでも最には、「分かりました」と答えた。
というが、義母をどこまで変えたのか。
そして私自が、どこまで変わったのか。
確かめてもいいとった。