"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第16話
さな部で始まった活
義母がしいマンションへ移ってから数かが過ぎた。
公平の話では、予以に活へ馴染んでいるという。
駅もスーパーもく、病院へも自分ので通える。建物の入りから部まで段差がほとんどなく、エレベーターもあるため、以のように膝を庇いながら階段をりりする必がない。
ある、孝志が様子を見にくと、義母がぽつりと言ったらしい。
「階段がないって、本当に楽ね」
孝志はわず笑った。
「だから公平が最初から言ってただろ」
「調子に乗らないの」
義母はそう言って息子の肩を軽く叩いたという。
以のように鳴るのではない。
どこにでもある母と息子のやり取りだった。
さらに、隣の部にむ同代の女性とも親しくなった。
同じように暮らしをしている者同士、所のスーパーや病院の話をしたり、々緒にお茶をんだりしているらしい。
そこでは義母がどこの「本」なのかなど誰も気にしない。
が何億円なのかも関係ない。
ただ、文子というの歳の女性として付きう。
その方が義母にはずっと楽だったのかもしれない。
方で、私と義母の関係は以と同じには戻らなかった。
私は識に距を置いた。
必な連絡は基本に孝志を通し、どうしても必なだけ直接話す。
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それは義母を罰しているからではない。
むしろ今も関係を続けるために必な距だった。
以の私は、「族なんだから」とすることが正しいとっていた。
なことがあっても流し、義母の見栄に気づいても訂正せず、夫が逃げても自分がみ込めば済むとっていた。
その結果、古希祝いで爆発した。
だからもう同じやり方には戻らない。
義母もまた、その距を受け入れたようだった。
以なら「男の嫁なのに顔も見せない」と親族へ言っていたかもしれない。
今では孝志へ「彩さんにもよろしく」と伝えるだけになった。
誰かを所しない。
族という言葉で境界を消さない。
必なには助けう。
でもの責任まで肩代わりしない。
かけて、私たちはようやく普通の同士の関係へ戻り始めていた。
になった頃、私は孝志とで空きになったを訪れた。
何も置かれていないリビングには、私たちの音がやけにきく響いた。
孝志が窓際にち、庭を眺めながら聞いた。
「ここ、どうする?」
「まだ決めてない」
「売る?」
「まだ」
「俺たちがむ?」
「それもまだ」
孝志が苦笑した。
「億いなのに、ずいぶんのんびりしてるな」
私は笑った。
「だからいいのよ」
「え?」
「私のだから、私が決めたいに決めるの」
その言葉をにした、初めて本当に自由になった気がした。