"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第8話
義母が本当に欲しかったもの
公平がを受け取れば、なくとも義母のでは「嫁の」から「黒田の息子の」へ変わる。
法に成するかどうかなど、義母にとっての次だったのかもしれない。なのは、私という「」の善によってませてもらっている現実を消し、を黒田のへ戻したという形を作ることだった。
「所権を黒田へ戻したかったのね」
私が言うと、公平は苦い顔で頷いた。
「母さんは、俺を共犯者にしたかったんだといます。俺が受け取れば、『ほら、やっぱり黒田のだった』って自分で信じられるから」
私はスマートフォンの画面を見つめたまま、をいした。
初めての鍵を渡した、義母は涙を浮かべながら何度も「ありがとう」と言った。義父も「これは彩さんのだから、切に使う」と約束した。
数は、その通りだった。
変わったのは義父がくなった頃からだ。
義母は法事をでうようになり、親戚へ「うちでやる」「本だから当然」と話し始めた。私はその表現が気になり、孝志へ相談したこともある。
「父さんをくして寂しいんだ。言わせておけばいいだろ」
夫のその言で、私は引いた。
公平もまた、母親へ度注しただけで引いた。
親族も、義母がを失ったことをかわいそうにい、誰も訂正しなかった。
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皆がしずつ義母の見栄へ協力した結果、その代を私が払う形になったのだ。
「姉さん、本当にすみません」
公平がもう度をげた。
「俺も兄貴も、関わりたくなかったんです。母さんをらせたくなかったし、のことで揉めたくなかった。その結果、番関係ない姉さんに全部押しつけた」
「古希祝いの、はっきり断ってくれたでしょう。それで分です」
私はそう答えたが、自分自にも責任がないとはっていなかった。
私も、訂正する会はいくらでもあった。
「族なんだから」「今さら言うほどのことじゃない」「義母を傷つける必はない」。
そうやって先送りした。
善は、境界線がなければ、いつか当然の権利へ変わることがある。
そのの夜、公平との話を孝志へ全部伝えた。
夫はく黙ってから、「公平もってたのか」と呟いた。
「あなたも公平さんも、親戚も、みんなしずつお義母さんに見栄を張らせてあげたのね」
「……そうかもしれない」
「その『かわいそう』の代を、私は払った」
孝志は顔をげた。
「そんなつもりじゃ」
「つもりの話はもういいの」
私は声を荒らげなかった。
「私も黙っていた。だから私にも責任はある。でもこれからは、もう曖昧にしない」
翌週、私はつの配をした。
の状態を専業者に詳しく調べてもらうことにしたのだ。
義母は「守ってきた」と繰り返す。
ならばではなく、建物そのものに答えてもらえばいい。
そして検査の、義母が初めてにした「億円」という数字が、たな執着を浮かびがらせることになる。