"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第4話
夫が親戚へかけ始めた話
翌は曜だった。朝を終えると、孝志はリビングのソファに座り、古希祝いに席していた親族の名をノートへき始めた。叔父、伯母、従兄弟、父方の親族。を超える名をき終えると、彼はしばらくスマートフォンを握ったままかなかった。
「私が代わろうか?」
そう聞くと、孝志は首を横に振った。
「俺がやる」
最初の相は、親族のでも発言力のい叔父だった。
「昨の母さんの話だけど、訂正したいことがあります」
孝志はつずつ説した。の所者は最初から私であること。義父母はから無償でませてもらっているであること。母親に公平へ譲る権限はないこと。そして自分がそれを訂正せずにいたこと。
話の向こうの叔父はしばらく黙った、「そういうことだったのか」と声を落とした。
「彩さんには苦労をかけたな。おがもっとく言わなきゃいけなかった話だぞ」
「はい。俺の責任です」
話を切った孝志の顔は真っ赤になっていた。
それから何にも同じ説を続けた。驚くもいれば、「文子さんから聞いていた話と違う」と戸惑うもいた。でもに私へ話してきた伯母は、簡単には納得しなかった。
「でも孝志、文子さんはずっとあので法事もやってきたじゃない。
広告
今さら嫁のでしたなんて言ったら、文子さんが恥をかくでしょう」
以の夫なら、そこで言葉を濁していただろう。
しかしこのは違った。
「その恥を今まで彩に全部背負わせてきたのは俺です」
話の向こうが静まった。
「母さんが自分のみたいに振るうのを、俺が止めなかった。父さんと母さんを助けてくれたのは彩なのに、俺は母さんの顔をてる方を優先した。そのせいで彩が親戚ので、母さんの財産を奪う嫁みたいになっていた。もうそれは続けられません」
私は台所にったまま、夫の背を見ていた。
ようやく彼は、自分が何をしてきたのかを理解し始めていた。
すべての話を終えた頃には昼をきく回っていた。ノートに並んだ名には本ずつ線が引かれている。孝志はソファへ沈み込み、両で顔を覆った。
「恥ずかしいよ」
私は温かいお茶を置いた。
「何が?」
「自分の親が、嫁のを自分のものみたいに言っていたことを親戚に説して回るんだから。でも番恥ずかしかったのは、その状態を俺がずっと放置していたことだ」
私は黙って聞いた。
「母さんが恥をかくから言わない。が荒れるから言わない。それが族を守ることだとっていた。でも結局、母さんの見栄を守るために彩の居所を削ってたんだな」
「今、訂正してくれた。それで分とは言わないけど、必なことだったわ」
孝志はさく頷いた。
親族という側の壁は、これでかなり崩れた。
しかし義母本は違った。
彼女の元には、の私のがある。
自分が正しいと信じるための最の武器として、義母は必ずあれを持ってくる。
そして数、その予は当たった。
午過ぎ、玄関のインターホンに、顔を赤くした義母の姿が映った。