"4億円の私の家を義弟に譲る義母――夫の一言で凍りついた古希祝い" 第2話
の枚の
「ほら、やっぱり」
義母の声に、勝ち誇った響きが戻った。伯母のまで「あら、本当にそういてあるじゃない」とを乗りし、宴会にざわめきが広がる。まるでたった枚ので、登記も契約もの事実もすべてき換えられるかのようだった。
私はく息を吸った。
「確かに私がいたものです。でも今はお義母さんの古希祝いです。ここで所権の話を続けるのはやめましょう。、類を全部確認します」
「逃げるの?」
義母は即座に噛みついた。
「逃げません。だからこそ、ではなく類で確認すると言っています」
孝志が「それでいい」と言い、公平も「俺もそれでいい」と座った。義母だけがったまま、助けを求めるように親族を見回していたが、先ほどまで賛同していたたちも、夫と公平の反応を見て急に数が減っていた。
古希祝いは完全に壊れた。せっかく用された料理は半分以残り、誰も義母の寿を祝う雰囲気ではなくなっていた。帰りのに乗り込んでしばらくしてから、私は助席で正面を向いたまま孝志に聞いた。
「昨からってたの?」
夫のがハンドルので止まった。
「何を」
「お義母さんが今、の話をするってこと」
数秒の沈黙の、孝志はさく「ああ」と答えた。夜、義母から「はみんなにのことを話す」
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と話があったらしい。夫は「あのは彩のものなんだから勝なことを言うな」と釘を刺したものの、母親が「も結婚していて、まだ嫁のなの」とりしたため、話を打ち切ってしまったという。
「どうして私に言わなかったの」
「俺がそので止めればいいとった」
「止まらなかったわね」
孝志は答えられなかった。
信号が赤に変わり、が静かに止まる。私は窓のを見ながら、自分がじ続けてきた違を初めて言葉にした。
「何からってたの。お義母さんが、親戚にあのを自分のみたいに話していたこと」
「……かなりから」
「それでも何も言わなかった」
「母さんは父さんがくなって、あのくらいしか自できるものがなかったんだ。だから言わせておけばいいとった。誰も困らないとってた」
私はわず夫を見た。
「あなたは困らなかったでしょうね」
孝志の横顔が固まった。
「私は困ってたの。自分のなのに、しずつ私の名だけが消えていった。親戚はみんな『文子さんの』だとっている。今だって、私が止めたら財産を奪う嫁みたいに見られた」
「彩……」
「あなたが守っていたのは平じゃない。お義母さんの見栄よ」
その言葉を最に、私たちはに着くまでほとんど話をしなかった。
翌朝、私は斎の鍵付きの引きしから、の産関係の類をまとめたいファイルを取りした。
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と建物の登記資料、固定資産税の記録、義父母がみ始めたに作った簡単な、そしての台所改修に交わした確認まで残っている。
その、固定話が鳴った。
相は昨の宴会にいた伯母だった。
「彩さん、昨は驚いたわ。でも文子さんもかわいそうじゃない。もあのを守ってきたのよ」
「伯母さん」
私は遮った。
「あのは、私の名義です」
「でも文子さんは、ずっと自分ののように――」
「だから今、専と類を確認します。それ以は事実を確認してから話します」
私は通話を終えた。
横で聞いていた孝志が、両で顔を覆った。
「親戚、そうっていたのか……」
「あなたが訂正しなかったからよ」
私はファイルを鞄へ入れた。
このから私は、族の気持ちを推測して譲るのをやめた。
必なのはただつ。
事実だった。