"亡霊の専属運転手" 第10話
あふれるハイウェイへ
階の役員専用駐。
蛍灯のいが然と反射する広なフロアの央に、漆黒の輝きを放つ最級防弾サルーンが静かに佇んでいた。特殊鋼のアウターパネルと、さミリの防弾ガラスに守られた、まさにる塞。
カチャリ、と部座席のドアがき、鷹司会が乗り込んだ。
美央は音もなくドアを閉めると、自らの定位置である運転席へと向かい、静かにシートにを滑り込ませた。
質な本革のシートが、吸い付くように体を支える。
美央はポケットから、柔らかな黒革で作られた運転用のドライビンググローブを取りし、指の本本に丁寧に嵌めていった。
かつて戦で銃を握り、敵の命を刈り取っていた。
理尽な侮辱に耐え、己のを隠し続けていた。
そのは今、切なの命を守り、自らの誇りある居所を勝ち取った、確かな守護者のへとまれ変わっていた。
「さて、美央君。今はまず、丸の内の発現へ向かってくれるかね」
バックミラー越しに、会の穏やかで信頼に満ちた笑顔が映る。
「かしこまりました、会。最かつ最も全なルートでご案内いたします」
美央がスタートボタンに指先を触れると、排気量の気筒エンジンが、かすかな唸り声をげて滑らかに目覚めた。
広告
振すらじさせない極のアイドリング。
シフトレバーをドライブに入れ、美央は静かにアクセルを踏み込んだ。
黒塗りのサルーンは、の暗を音もなく滑りし、緩やかなスロープを駆けがっていく。
ゲートを抜けると、目のにはどこまでも広がる京の脈が広がっていた。
の空を茜に染めげる壮な夕焼け。層ビル群のガラス壁が黄に輝き、き交う無数ののテールランプが、平なの息吹のようにきらめいている。
者を侮り、力とで命を踏みにじろうとした愚か者たちは、自らが掘った墓穴の底へと消えった。
理尽なノイズは、もうどこにもしない。
美央の瞳には、かつての戦のは微もなく、澄み渡る夕暮れのだけが宿っていた。
切なものを守るための力は、決して恥じるべきものではない。正しき志とともに振るわれる力こそが、真の平を切りくのだ。
は夕陽ののへと滑らかに流し、果てしなく続く美しいハイウェイを、揺るぎない取りでり抜けていった。