みかん小説
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"亡霊の専属運転手" 第7話

自の記録

「ひっ……ひいいっ! く、来るな! 化け物め!」

剛田はをいずりながら、必にろへがろうとした。しかし、背はすでにたい壁に押し付けられており、逃げなどどこにもなかった。

美央は剛田の歩でを止め、酷な差しで見ろした。

すると、剛田の濁った瞳に、劣な本能のが怪しく点滅し始めた。男は震えるで額の脂汗を拭うと、顔の筋肉を無理やり引きつらせ、擦り寄るような媚び笑いを浮かべたのだ。

「あ、ああ……! 助かった……! よくやってくれたよ、神代君!」

剛田は両をわせ、まるで美央の方であったかのように捲して始めた。

「まさか、こいつらが面接に紛れ込んだテロリストだったとは! 私も危うく殺されるところだったんだ! 君がいてくれて本当に助かったよ! 私は最初から、君の優秀な経歴を見抜いて格させるつもりだったんだ!」

顔無恥。その言葉のすべてが、自らの保のために紡ぎされた浅ましい嘘だった。

「剛田」

背から、鳴りのようない声が響いた。鷹司会が、威厳に満ちた取りでづいてくる。、会社を率いてきた真のトップのが、裏切り者の顔を射抜いた。

「おは今、自分が誰に向かってその見え透いた嘘をついているのか分かっているのか」

「か、会! 信じてください! 私は騙されていたんです! ライバル企業が送り込んできた暗殺者たちに脅されて、やむを得ず——」

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「見苦しい言い訳はおやめなさい、剛田副社」

美央の徹な言が、剛田の言葉を遮った。

「あなたが被害者を装うには、あまりにも杜撰な証拠がすぎます」

美央は指を本てた。

「第に、このフロアの防犯カメラ。作ランプが切断されたのは、会が到着されるわずか分でした。このビルのセキュリティルームの操作権限を持つ役員は、社内でもあなたを含めてしかいません。部のが操作できるはずがない」

剛田の喉がヒュッと鳴った。

「第に、この部の子ロック。扉をで隔モードに切り替えたのは、あなたが座っていた面接官席の裏にある緊急コンソールです。暗殺者たちがドアをけられずにパニックを起こしていたのが、何よりの証拠です」

美央は倒れている傭兵のを指差した。

「そして第に……会が入される直、あなたのスマートフォンが振し、あなたは『準備はできている』と声で通話しましたね。その直、彼らは斉に脇の銃にをかけました。あれは、あなたが実犯たちに図を送った決定な瞬です」

「そ……それは……!」

剛田の顔面から、さらに血の気が引いていく。

「言い逃れはできません。あなたは最初から、この密で会を暗殺し、その罪を暴したテロリストになすりつけ、自らが会社の全権を掌握する絵図を描いていた」

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美央の理然とした告発に、剛田の張り子の虎のようなプライドがついに決壊した。

「……ああ! そうだよ! 何が悪い!」

剛田は狂ったように叫び、を拳で叩きつけた。

「あんたがいつまでも会の座に居座り続けるからだ! 俺に権力を譲らず、いつまでも院政を敷きやがって! 俺の方が会社をきくできるんだ! あんたさえねば、すべて俺のい通りになったんだよ!」

醜悪な本性の全。者の命を奪ってでも権力の頂点にとうとした男の、救いようのない欲望の叫びだった。

だが、剛田は狂気の笑みを浮かべ、ギラつく目で美央と会を睨みつけた。

「だがな……それが分かったところで、おたちに何ができる? この部のカメラは切れているんだ! 目撃者はおたちと、気絶したこいつらだけだ! 俺には本最峰の弁護士団がついている! 『脅迫されて無理やり従わされていた』と証言すれば、警察だって俺を逮捕できやしない! 裁判になればと権力を持つ俺の勝ちだ!」

勝利を確信したかのように、剛田は卑た笑い声をげた。

しかし、美央は溜息すら漏らさず、静かにスーツの内ポケットへとを伸ばした。

取りされたのは、本の黒い級万のような属製の円柱だった。

「な、なんだそれは……?」

美央は万の部にあるさなスイッチを、カチリと押し込んだ。

ピー、というい子音が鳴り、内蔵された性能スピーカーから、極めてクリアな音声が再された。

『……ああ! そうだよ! 何が悪い! あんたがいつまでも会の座に居座り続けるからだ! 俺に権力を譲らず、いつまでも院政を敷きやがって! あんたさえねば、すべて俺のい通りになったんだよ!』

剛田の狂乱した自が、寸分違わぬ鮮さで部に響き渡った。

「な……に……!?」

剛田の呼吸が完全に止まった。

「軍用規格の暗号化音声レコーダーです」

美央は淡々と告げた。

「私がこの部に入った瞬から、すべての会話は記録され、同にビルのに配置されている警備本部のクラウドサーバーへとリアルタイムで送信されています。あなたがこの械を壊そうと、すでにデータは法な証拠として保全されています」

「う……嘘だ……! 嘘だああああっ!」

剛田はを抱え、に額を擦り付けて絶叫した。自らが放った傲な自の言葉が、自らの首を絞める絶対の縄となったのだ。

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