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"亡霊の専属運転手" 第6話

狩の音

な防音扉に背を押し付け、残る男たちは獣のように怯えた目で美央を見つめていた。

にはすでにの巨漢が、奇妙な角度でを折り曲げ、あるいは目を剥いて昏倒していた。破壊されたマホガニーのテーブルの破片、千切れた級ソファの革、び散った薬莢、そして硝煙の焦げ臭い匂い。わずか数秒まで、己の腕力と銃器の威力を誇示し、美央を「娘」とあざ笑っていた男たちの面はどこにもなかった。

「化け物……寄るな……!」

目の男が、恐怖で引きつった顔で震えるを持ちげ、銃を美央に向け直そうとした。

だが、その銃の照準が定まることはなかった。男の指が引きに触れた瞬、美央の姿はすでに界の斜め度、角の彼方へとブレるように消えっていた。

「ひっ——」

男の喉から掠れた鳴が漏れた刹、美央のの平が、男の肘関節の側を正確に叩きげた。

ボキッ、と乾いたを割るような音が内に響く。

「ぎゃああああっ!」

肘の関節を逆方向に折られた男が激痛に叫び声をげると同に、美央は男の肩を掴み、流れるような体捌きで背負い投げを放った。百キロを超える筋肉の塊が軽々と宙をい、目の男を巻き込んで理のへと激突する。

ドスン、というい響きとともに、つの体が絡みってを滑り、壁にを打ちつけて完全に沈黙した。

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残るは、。

目と目の男は、もはや武器を構えることすら忘れていた。にしたミリ拳銃がカラン、カランと虚しい音をててに転がり落ちる。

「ま、待ってくれ! 俺たちはで雇われただけだ! 剛田副社に言われてやっただけなんだ!」

「命だけは……命だけは助けてくれ! 伏する! 伏するから!」

の男がに額を擦り付け、子犬のように激しく震えながら座した。プライドも、プロとしての自負も、すべてをかなぐり捨てた惨めな命乞い。

美央はえ切った瞳でを見ろした。

「伏を受け入れます。ですが、全のためにしだけ眠っていただきます」

「え——」

男たちが顔をげた瞬、美央の踏み込みは完していた。

の速さで繰りされた撃の当。頸脈洞を寸分の狂いもなく打ち抜かれたの男は、痛みを訴える暇すらなく、糸の切れた操り形のようにへと崩れ落ちた。

始から、分と経っていなかった。

の武装した暗殺者。彼らを残らず、殺すことなく、完全な素と最限の具だけで完全に無力化したのだ。

美央はく静かな呼気をつ吐きし、乱れることのない呼吸でスーツの襟元をえた。掌についた微かな埃を払い、倒れたソファのへと歩み寄る。

「鷹司会、もう丈夫です。

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怪はございませんか」

美央が優しく声をかけると、ソファのからゆっくりと老紳士がちがった。その双眸には、恐怖のは微もなく、ただただ目のの女性への底れない敬と驚嘆が宿っていた。

「怪などないよ、美央君。……見事だ。の砂漠の夜と、寸分違わぬ神業だ」

会が胸を撫でろしたその、部の最奥の隅から、ガチガチと歯の根がわない異様な音が聞こえてきた。

美央と会の線が、同にそこへ向けられる。

そこには、壁にへばりつくようにして座り込み、腰を抜かした剛田副社の姿があった。

仕ての良いストライプの級スーツの股には、温かい染みが無残に広がっている。顎は激しく痙攣し、顔からは完全に血の気が引いて気に変していた。

「あ……あ……あ……」

剛田は言葉を失い、喉を鳴らすことしかできなかった。自分が全財産とコネクションを注ぎ込んで集めた、の歴戦の傭兵たち。それが、たったの柄な女性に、屑のように片付けられたのだ。

美央はに落ちていた拳銃を丁拾いげると、スライドを引いて弾倉を抜き、薬の弾を全に排した。カチャリ、とい属音が鳴る。

そして、ゆっくりと、音もなく剛田のへと歩み寄った。

「さて……剛田副社。面接の続きを始めましょうか」

美央の底えする声が、部の隅に追い詰められた男の鼓膜を容赦なく叩いた。

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