"亡霊の専属運転手" 第5話
閃の秒
弾丸が虚空を切り裂き、背のマホガニーの壁を抉ったその刹、美央の体はすでに男の懐くへと滑り込んでいた。
を擦るようない踏み込み。
男が発目を撃つもなく、美央のの掌底が、男の顎の先端へとから垂直に突きげられた。
ゴキッ!
鈍い骨の軋む音が響き、体百キロい男の巨体が宙をった。脳を烈に揺さぶられた男は目を剥き、引きに指をかけたままへと崩れ落ちる。
「な——!?」
隣にいた目の男が驚愕して銃をげようとした瞬、美央は倒れゆく目の男の首を掴み、その首を万力のような力で捻りげて拳銃を奪した。
奪った銃の引きは引かない。
美央は銃を逆に握り直すと、その鋼鉄のグリップエンド(銃把の底)を、目の男の側部へと容赦なく叩き込んだ。
ガツン!
蓋を打たれた目が鳴をげるもなく昏倒する。
始から、わずか秒。
「撃て! 撃ちまくれええッ!」
パニックに陥った残りのが、密ので狂ったように連射を始めた。
プシュ、プシュプシュプシュッ!
消音銃の連続発砲音が嵐のように吹き荒れ、壁の絵画が砕され、豪奢なソファの革が引き裂かれてい綿がび散る。薬の焦げた異臭が部にち込めた。
しかし、その濃密な弾幕の隙を、美央はまるで実体のない「霊」
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のようにすり抜けていった。
発砲する瞬の射の肩のき、銃のブレを完璧に見切り、最限の体捌きで弾を躱す。
歩の躍で棟の射線を潜り抜けた美央は、テーブルのに転がっていた本の属製級ボールペンをで拾いげた。
目の男がリロード(弾薬再装填)のために線を落とした瞬、美央の姿がに現れた。
「ひっ——」
美央のにしたボールペンの先端が、男の首の正神経の急所を正確無比に貫いた。
「ぎゃあああっ!」
激痛で銃を落とした男の鳩尾へ、美央の鋭利な膝蹴りが突き刺さる。胃液を吐きしながら崩れ落ちる男の背を踏み台にし、美央は目と目のへとんだ。
空で両を広げ、の男のネクタイをから掴みげると、力を利用しての部同士を力任せに激突させた。
ゴツンッ!
鐘の鳴るような凄まじい衝撃音が響き、つの巨体が同に沈む。
「ば、化け物だ……! 弾が当たらねえ!」
残る男たちの顔から、血の気が完全に引いていた。
彼らは百戦錬磨の暗殺者のはずだった。数の暴力と最の銃器で、標を確実に仕留めるプロフェッショナルのはずだった。
だが、目のでう女は、次元が違っていた。
無駄なきが切ない。殺気すら放たず、械のような正確さで急所だけを破壊し、をただの「物体」
として処理していく絶対な暴力の化。
「けろ! ドアをけろ!」
残された男たちが、恐怖のあまり銃を放りし、自ら施錠したはずの頑丈な防音ドアへとすがりついた。ノブを狂ったようにガチャガチャと回すが、子ロックを切断した扉はびくともしない。
自分たちが作った完璧な密が、今や逃げのない処刑へと変わっていた。
美央は静かに息をえ、に落ちていた拳銃を丁、先でねげてでキャッチした。
カチャリ、とスライドを引いて薬の全装置を解除する。
たい属音が、静まり返った部に刑宣告のように響いた。
「プロを名乗るのであれば、退の確保くらいは計算に入れておくべきでしたね」
美央の底えする声が、震える男たちの背にり注いだ。