"亡霊の専属運転手" 第4話
剥がされた仮面
特別面接の広な空が、瞬にして絶対零度の静寂に包まれた。
剛田をはじめとする役員たちも、壁際に列していたの暗殺者たちも、突如として取り乱した会の様子に息を呑み、言葉を失っていた。
美央はパイプ子から音もなくちがった。
仕てたばかりのリクルートスーツの裾を正し、歩、また歩と、迷いのない取りで鷹司会のへと歩みる。
「お久しぶりでございます、鷹司会」
美央の声は、先ほどまでの控えめな就活のそれとは完全に異なっていた。く、澄み渡り、戦の喧騒すら瞬で切り裂くような、本物の戦士の響きを帯びていた。
「、カハル油田帯。反政府ゲリラに拉致された民技術者奪還作戦において、第襲班の殿(しんがり)を務めさせていただきました。……お怪の遺症もなく、ご無事で何よりです」
美央が完璧な角度でをげた瞬、鷹司会の目から粒の涙が溢れた。
「お、おお……! やはり君だったのか! あの、名も告げずにっていった、部隊の守護神……! まさか、女性であったとは……!」
会は震える両で美央のを固く握りしめた。
「ずっと探していたのだ! 私を背負って灼の砂漠を駆け抜けてくれた、命の恩を……! まさか、自らが社の運転に応募してきてくれるとは……!」
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老紳士の涙と歓。
しかし、そのの面を、背から突き刺すような狂気の号が引き裂いた。
「計画変更だッ!! 撃て! 今すぐ全員撃ち殺せェッ!!」
剛田の絶叫だった。
美央の正体が、あの伝説の特殊部隊員であり、会の命の恩であるとれた以、もはや「適格者として追いす」茶番も、「事故に見せかけた暗殺」の偽装も成しない。この女がきていれば、自分たちの計画はすべて泡に帰す。
剛田の図とともに、の男たちのきが爆発した。
ジャキッ、ジャキッ、ジャキッ!
属の擦れう乾いた音が何にもなり、男たちのジャケットの脇から、黒くる拳銃が斉に引き抜かれた。
サプレッサー(消音器)の装着されたミリ型拳銃。の黒い銃が、瞬にして美央と鷹司会の部へと照準をわせた。
「会、くなよ! あの世への片切符をプレゼントしてやる!」
顎に傷のある男が卑た笑みを浮かべ、引きに指をかけた。
「ひっ……!?」
鷹司会が息を呑み、直する。
だが、銃を向けられた美央の表には、恐怖の欠片すら浮かんでいなかった。
彼女の瞳の奥で、厳に閉ざされていた「神の扉」が、音もなくねがった。
(……やむを得ないわね)
美央の脳内で、世界が極限まで引き延ばされたスローモーションへと減速した。
のの位置、銃の射線、指の筋肉の収縮速度、部の遮蔽物の配置——それら膨な報が、瞬に本の「と殲滅の幾何学」
へと変換されていく。
「会、伏せて!」
美央の凛とした号令と、男が引きを絞り込んだ瞬は、完全に同だった。
プシュッ!
消音器特のくぐもった発砲音とともに、初速毎秒百メートルの鉛の弾丸が空気を切り裂いた。
しかし、その弾に、美央の姿はすでにしなかった。