"消された十六番目の席" 第16話
川越の両親の平伏と、将の証拠
野さんが階の査定をっている最、表のに台のセダンが滑り込んできた。 扉をけて入ってきたのは、麻美の父・久志さんと、母の千恵里さんだった。 は玄関先で野さんとすれ違い、そのに握られた『ひかり産』の封筒を目にした瞬、すべてを察したように肩を落とした。
「……かず子さん」 リビングに通された久志さんと千恵里さんは、座布団に座ることも拒み、板のの畳のに直接正座した。 そして、額が畳にめり込むほどく、両を突いて平伏した。
「この度は……私どもの娘が、のにれた言語断の非礼を働き……本当に、申し訳ございませんでした!!」 久志さんの絞りすような謝罪に、千恵里さんも肩を震わせて嗚咽した。 「かず子さん……わせる顔もございません……。すべては、私たちの娘への教育がき届かなかったせいです……!」
「お父さん、お母さん、をおげください」 私が静かに声をかけると、千恵里さんは涙で濡れた顔をげ、部の隅で縮こまっている麻美を睨みつけた。 「麻美! あなたもへなさい! かず子さんに、座してお詫びをしなさい!」
麻美は震えながら両親の隣に膝をついた。 だが、そのから漏れたのは、反省の言葉ではなく、自己保の見苦しい言い訳だった。
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「で、でも……お母さん! 私、本当におに席がないって言われたのよ! までしか入れないって……! 輔のお母さんをわざとしたわけじゃないの! 本当なのよ!」
その瞬だった。 リビングの壁際にっていた輔が、ポケットからスマートフォンを取りし、震えるで操作した。 「麻美……もうやめろ」 「輔……?」
輔の顔は、苦渋と絶望で歪んでいた。 「俺、に吉川へってきたんだ。……将から、予約の台帳を見せてもらったよ」 麻美の体が、ビクッとねがった。
輔はスマートフォンの画面を、久志さんと千恵里さん、そして麻美の目のに突きつけた。 画面には、将の許を得て撮された、あの予約台帳の写真が鮮に映しされていた。
【:名で予約】 【:名に変更。義母は混み嫌いのため欠席。穴子キャンセル。連絡者:奥様】
「将が言ってたよ。座敷はまで入れるってさ」 輔の掠れた声が、静寂を切り裂いた。 「麻美……おが、暮れのに自分で話をかけて、母さんの席を消したんだろ。……母さんの好物の穴子まで、勝に断ってさ」
「あ……ああ……」 麻美の喉から、空気の抜けるような鳴が漏れた。 久志さんの拳が、畳を激しく打ち据えた。 「麻美ッ!! 貴様という奴は……そこまで腐りきっていたのか!!」
「違うの! あれは……おのが勘違いして……!」
「連絡先におの携帯番号がいてあるんだよ!!」輔が初めて、妻に向かって号を浴びせた。 「俺はしか入れないっておから聞かされてたんだ! おの嘘を信じて、俺は自分の母親を置きりにしたんだぞ!!」
「あなただって同罪じゃない!!」麻美が狂乱して叫び返した。 「『母さん、寿司なんていつでもえるし』って笑ったのはあなたでしょ!? 留守番させればいいって言ったのはあなたじゃない!!」
夫婦の醜悪な罵りいが、リビングに霊した。 久志さんも千恵里さんも、それを止めることすらできなかった。 ただただ、自分たちの娘と娘婿の浅ましさに、顔を覆って震えることしかできなかったのだ。