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"消された十六番目の席" 第11話

修羅の座敷と見した名義

え切ったリビングに、沈黙の圧がのしかかっていた。 エアコンが唸りをげて吹きす温も、この空を満たす凍りついた空気を溶かすことはできない。 ダイニングテーブルのに広げられた母のいと、吉川の将から託された穴子の折詰。そのつが、無言のまま若夫婦の罪状を突きつけていた。

「麻美……お、自分の母親や親戚ので、よくもそんな劣な真似ができたもんだな」 を切ったのは、麻美の父・川久志だった。 数まで酒に酔って嫌に笑っていた赤ら顔は跡形もなく消えり、額にい青筋を浮かべている。 「輔君のお母さんを……このを以守ってこられた恩を、寿司から締めして留守番をさせただと? 挙句の果てに『内だけで楽しみたい』だと!?」

「だ、だって……!」 麻美は取り乱し、乱れた髪を両で押さえながら、甲い鳴のような声をげた。 「輔のお母さんがいると、みんな気を使うじゃない! 古い考えのだし、話もわないし! 私は……私たちがこのを引き取ってあげて、面倒を見てあげてるなのよ! 居候同然の姑に、たまには慮しろって言って何が悪いのよ!」

「居候……?」 敏さんが、氷のようにたい声で呟いた。 ゆっくりと座卓の向こうへ歩みると、麻美の正面にちはだかった。

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「麻美さん。あなた、今なんとおっしゃったの? 誰が、誰を、引き取ってあげてるって?」

「事実じゃないですか!」麻美は逆し、唾をばした。 「この広いを持て余して寂しがってたから、私たちがわざわざ同居してあげたんです! 費だって輔が払ってるし、お呂だってキッチンだって、にうちがおをして最式にリフォームしたんです! 私たちはこのの主なんですよ!」

「いい加減にしろ、麻美ッ!!」 久志の号が、リビングの窓ガラスをビリビリと震わせた。 久志は歩に踏みし、にへたり込む娘を見ろした。 「の母親に向かって恥をかかせたとは何事だ! 恥をかかされているのは、親であるわしらの方だ! 輔君、本当のことを言いなさい! このは、本当に君が継いだなのか!?」

輔は、壁際に背を押し付けたまま、ガタガタと膝を震わせていた。 千恵里さんの痛な線、妹の真由夫婦の軽蔑に満ちた目、そして敏さんの射抜くような。逃げはどこにもなかった。 輔は喉を詰まらせ、掠れた声を絞りした。

「……ち、違います……」 「何が違うんだ! はっきり言え!」久志が鳴る。 「ここは……母さんのです……」 輔のから漏れた真実に、川の全員が息を呑んだ。

「を建てたのも、のローンを払い終えたのも、全部親父と母さんです……。

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親父がんだ、名義も全部母さんになってます……。俺たちは……から、母さんの好でタダでまわせてもらってるだけです……」

「え……?」 真由が元を押さえてずさりした。 「お姉ちゃん……私たちに『輔さんがを継いで、お母さんを引き取った』って言ってたよね……? リフォームのおも、お姉ちゃんたちがしたって……」

輔は力なく首を横に振った。 「リフォーム代の百万円も……全部、母さんの貯からました……。俺がに入れてるのは、に万円の費だけです……」

「万円……!?」 千恵里さんがよろめき、夫の久志の腕を掴んだ。 「に、たった万円……? 費も払わず、賃も払わず……その、今のお寿司代の万円は、ポンとカードで払ったの……?」 千恵里さんの瞳から、粒の涙がこぼれ落ちた。 「私……今、かず子さんに『輔さんのお、広くて素敵ね。ここなら老もね』なんて……なんて残酷なことを言ってしまったのかしら……!」 千恵里さんは顔を両で覆い、そのに崩れ落ちて咽び泣いた。 の真の持ち主をにして、寄している若夫婦を褒め称え、その持ち主を女のように扱っていた――その耐え難い恥辱に、老いた母親のは々に引き裂かれていた。

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