みかん小説
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"玄関のピンクのウサギ" 第7話

万円で売られた母

母の腕輪の購入者は、にもすぐ見つかった。フリマアプリの運営を通じて事を説したところ、購入者は野からでほどれた所にむ代の男性で、「盗品や無断処分品だとっていたなら買わなかった」と返答してきた。腕輪は今も元にあり、受け取ったの箱も残しているという。

ただし、相も万円を支払っている。事が複雑なため、私は松本弁護士を通じて話しい、最終に購入額と同額を返すことで腕輪を戻してもらうことにした。悔しかった。自分の母の形見を、自分ので買い戻す。こんな理尽なことがあるだろうか。それでも、失ったままにするよりはよかった。

通帳を確認すると、私個の自由になる貯は万円ほどだった。残りの万円をどうしようか迷っていた、昔の同僚の岡本先が事をり、「すぐ返さなくていいから」と貸してくれた。私は何度も断ったが、彼女は話の向こうでった。

「美、あなたはには何も助け舟をしてきたくせに、自分が困っただけで何とかしようとするのやめなさい」

その言葉に、私は返事ができなかった。確かに私は、頼ることが苦だった。夫が無職のも、子育てが苦しいも、義父母の介護でも、「私がやれば済む」

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とってきた。その結果、信之まで私が何でもするだとい込んだのかもしれない。

数、宅配便でさな箱が届いた。にはい緑の翡翠の腕輪が、い布に包まれて入っていた。に取った瞬、涙が落ちた。表面のたさも、い筋も、母の首で見ていた頃と同じだった。私はゆっくり自分の腕にはめた。

「ただいま、お母さん」

誰もいないホテルの部で、初めて声にした。

同じ頃、松本弁護士は雄への〇万円の流れも詳しく調べていた。雄は確かに昨、さな堂をいていた。業資の部として信之からの〇万円が使われ、借用も返済記録もない。さらには半ほどで経営が悪化し、すでに閉していた。厨器を処分して得たの部は、母親である綾乃の座へ移されていた。

「つまり、〇万円はもうほとんど残っていない能性があります」

「夫は返してもらうつもりだったと言っています」

「その主張をするなら、約束の内容を示すものが必です。なくとも現段階では確認できません」

私は腹がった。しかし、それ以に奇妙だったのは、信之が実の息子には度も見せなかった気の良さだ。

私は健がを買ったのことをいした。万円りず、「父さん、借りるだけでいい。

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で返す」と頼んだ息子に、信之は言った。

「自分のなら自分で何とかしろ。親の老資を当てにするな」

その、私は厳しいけれど違ってはいないとった。だから自分の貯から万円だけし、残りは健に借りさせた。それが今になって、すべて違って見える。

夜、私は信之に話をした。

「雄さんの、もう潰れてるわね」

しばらく沈黙があった。

「誰から聞いた」

「質問に答えて。〇万円、返してもらったの?」

「これからだ」

「は閉まってるのに?」

「雄君は働いて返すって――」

「健が万円借りたいと言った、あなたは何て言った?」

信之は答えなかった。

「の息子には〇万円。自分の息子には万円も貸さない。どうして?」

「事が違う」

「何が違うの?」

「綾乃さんが困ってたんだ」

私はそこで話を切った。答えは分だった。

困っているを助けたいのなら、まず緒にきた族に相談するべきだった。まして、そのは信之のものではない。

私は腕の翡翠を撫でながら、つ決めた。

次は綾乃本に会う。

夫のから聞くのはもう分だった。

彼女が何をり、何を約束され、何を受け取ったのか。私は本の言葉で確かめる必があった。

そしてその対面で、綾乃は私の像よりはるかに率直な言をにすることになる。

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