"機内で私を叩いた息子の愛人、空港で知った私の正体" 第7話
仮面の剥落とパーセントの遺産
「母さん……? 託、あんた何を寝ぼけたこと言ってるのよ!」
が信じられないといった顔で託の腕を引っ張った。
「そのババアは偽物よ! 寄舟が雇った売れない女優よ! 会は帰国するはずでしょ!? こんな貧乏臭い民のファーストクラスに乗ってくるわけないじゃない!」
「黙れッ!!」
託の絶叫がロビーを揺るがした。彼はのを振り払い、に膝をつきそうな勢いで玉のへ詰め寄った。
「か、母さん……なぜ……なぜ今、ここに……!? のプライベートジェットでお戻りになると……」
「あなたが私に嘘をついていたからよ、託」
玉の声は、どこまでも澄み切っていた。だが、そのたさは託の骨の髄まで凍りつかせた。
「『真面目にオフィスで働いている』『で浮気など神に誓ってしていない』……そう話で答えた舌の根も乾かぬうちに、この女を迎えに来たのね。そして内で、この女に私の頬を叩かせた」
「ち、違うんです母さん! 俺はらなかったんだ! が内で揉めていると聞いて、てっきりクレーマーに絡まれているものだとばかりって……!」
「私が誰かも確かめず、話で『俺の縄張りで俺の女にをすな、座させろ』と鳴りつけたのは、ならぬあなたよ」
玉はバッグから、先ほど内で見ていた通の契約を取りした。
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「今、あなたに渡すはずだったサプライズよ。氏グループの株式パーセントの譲渡契約。これをあなたの誕に渡し、いよいよグループ本社の実権を継がせるつもりだった。……、あなたが必に空港の経営をて直してきたと信じていたからよ」
「母さん……! やはり俺を認めてくれていたんですね!」
託の目に、劣な希望のが宿った。パーセントの株式。価にして億ドルを超える莫な資産だ。それさえあれば、グループ内での発言権は確固たるものになる。
しかし、玉はその類を、託の目のでゆっくりとつに引き裂いた。
ビリッ、ビリリッ。
「母さん……!?」
「あなたに、氏の血を継ぐ資格はないわ。、庭を守り、あなたの儘に耐え抜いてきた寄舟を裏切り、あまつさえこんな品な棒猫に宝の腕輪を奪わせ、私の翡翠のペンダントを々に砕かせた。……寄舟、婚届をしなさい」
玉の促しに、寄舟はハンドバッグから、あらかじめえられていた枚の用を取りし、託の元に滑らせた。
「託さん。サインしてください。もう、あなたを支える理由は切ありません」
寄舟の涼しげな瞳には、願も未練もなかった。
託はの婚届を睨みつけ、屈辱と焦燥で顔を歪めた。
「ふ、ふざけるな! 婚だと!? たかがのを作ったくらいで、連れ添った夫を捨てる気か! だいたい寄舟、おのような子供も産めない役にたない専業主婦を、養ってやったのは誰だとっているんだ! 俺がメトロ航空をて直して、巨額の利益を叩きしてきたから、おは贅沢な暮らしができたんじゃないのか!」
託はちがり、胸を張って居直った。
「母さん、株の譲渡を破棄したって無駄ですよ! 俺にはもうすぐ、世界な巨企業『Apex社』との数億ドル規模の独占提携契約が控えているんだ! その契約にサインすれば、氏グループの援助などなくとも、俺の力で莫な富と権力をに入れられる! 俺を舐めるな!」
も息を吹き返したように、託の背にぴったりと寄り添った。
「そうよ! 託は自力で成功する本物のエリートなのよ! 数億ドルの契約を結んだら、真っ先にに迷うのはあんたたちの方よ!」
その喚き声を聞きながら、寄舟はふっとさく、憐れむように微笑んだ。
「託さん。あなた、本当に自分の力でApex社との契約を勝ち取ったとっているの?」