"一等くじの切れ目" 第16話
会から戻ると、子のにはの子供が待っていた。歳の久枝と歳の修である。は学の友達から、「おの姉ちゃんが当たりをずるした」と言われたらしかった。修は頬を膨らませ、「そんなことないって言ったら喧嘩になった」と泣いた。子は修のの甲についた擦り傷を洗った。自分が公に確かめようとしたことは正しかったかもしれない。それでも、真相が広まれば、幼い子供までその言葉を背負わされることを忘れてはいけなかった。
美津は弟の傷を見て青ざめた。「私のせいだね」。修は泣きながら首を振った。「お姉ちゃんはお母ちゃんに洗濯をあげたかったんでしょ」。その言に、美津の顔がくしゃくしゃになった。久枝は静に「でも、ずるをしたらだめだよ」と言った。姉はさく「そうだね」と返した。子はそれ以誰も叱らなかった。族が自分たちの言葉で、このに起きたことを話せるようになるまで、何度でも聞いてやろうとった。
翌、栄のところへ荷役の親方が来た。商の荷をに減らしていたのは、岩崎から頼まれたためだと認めた。「うちだっての客を失うのは困るんだ」。親方は申し訳なさそうに言った。栄は肩を押さえながら、「今は仕事の話は俺へ直接してくれ。妻のを止めるために俺の仕事を使わないでほしい」
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と言った。親方はし驚いた顔をしたが、やがてうなずいた。翌週の仕事はし戻ることになった。
そのの夕方、真が松葉堂から戻ってきた。久蔵がの件を確認し、盗んだという話は確かでないと商へ伝えてくれたらしい。真はようやく自分の布団と具箱を取り戻した。ただし久蔵は、無断でいなくなったことと、当たりくじを作る伝いをしたことについて、きちんと話しってからへ戻るよう言ったという。「全部が元通りになるわけじゃないです」とは言った。子は「そうだね」と答えた。
美津も所へ戻る決をした。柏老は何も聞かず、積みげたを指さして「これを枚数どおりに分けてくれ」と頼んだ。仕事の終わりに老が「印をつけていいのは、数を違えないためだけだ」と言うと、美津はくをげた。その言葉には叱責より、もう度自分の仕事を信じてみろという気持ちが込められているようだった。
修の喧嘩を聞いた栄は、夕飯の席で子供たちに言った。「よそので聞いた話を、確かめもせずにするもんじゃない」。正彦は頷いたが、美津は伏し目がちだった。父は続けた。「うちのでも同じだ。父ちゃんは母ちゃんのしたことを、最初はよく聞かずにった」。その言葉に子は驚いた。栄は妻へ向かってくをげるのではなく、「次に困ったら先に話してくれ。
仕事のことも緒に考える」と言った。子はその方がずっとありがたかった。
美津は弟の喧嘩の相にも翌会いにった。「ずるをしたのは私。だから修のことは言わないで」とをげた。相の子はきまり悪そうにうつむき、修も黙っていた。がすぐ仲直りしたわけではなかったが、なくとも姉のしたことを弟が代わりに背負う必はなくなった。
、商会はしい回覧をした。『歳末福引の部当選に適切な取り決めがありました。確認をめ、改めてご案内します』。子のが悪いとも、美津だけが悪いともいていなかった。たったのらせではりないとう客もかったが、なくとも町のたちが自分の名で違いを認め始めたのだった。