"一等くじの切れ目" 第13話
晦の朝、川器の主が子のへ来た。の裏から型の荷を引いてきたらしく、額に汗をかいていた。「洗濯のこと、正直に話しに来ました」。川は玄関で子を脱ぎ、展示品が卸問から期限付きで借りたものだったことを認めた。けまでに支払えなければ返さなければならない。商会は景品として台を購入するつもりだったが、歳末の売りげが見込みより悪く、代の用ができなかった。
「だから、当てたには数だけ置かせてもらって、そのあと返してもらう話だったんですか」
「会は、当選者が宣伝の役を買ってくれればりるとっていた。でも、私は反対していたんです」
「反対したのに、へ飾ったんですね」
川はうなずいた。以来の取引先から借りた品であり、町のが欲しがるのも分かっていた。だからこそへすことにした。説を聞くうち、子は川にも族があり、暮れの売りげを失えば困るとった。だが、事をったことと、したことを認めることは違う。「当たりを引いたには、品物が届くと約束していたでしょう」。川は「はい」とだけ答えた。
川が帰ったあと、子は古い台所の棚に置いた計帳をいた。米、噌、醤油、子供の学用品。栄の肩を治すための薬代もある。どれを削っても洗濯の代にはりない。
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もし何もらずに等を受け取っていたら、どれだけ嬉しかっただろう。考えると胸が痛んだ。けれど、その品が誰かの借り物で、あとで取りげられるとってしまった以、んで使うことはできない。
夕方、片桐が商会の経費について別のらせを持ってきた。灯の修理費の部は、実際にはくの通りから借りたでて替えられていた。岩崎が個に使い込んだという話ではない。それより厄介だったのは、皆の負担と借と景品代が同じ帳面で扱われていて、どのがどこへ消えたのか判別しにくいことだった。「悪いことをしようと決めただけが悪いのなら、簡単なんだがね」と片桐は言った。「始めは商を守るためだったのだろう。それでしずつ、言ってはいけない嘘が増えたんだ」
川は展示を始めたのことも話した。朝、洗濯を磨いていると、通りを歩く女たちがを止め、ふたをけたり閉めたりして眺めた。荒れのひどいは「このへ洗濯物を放り込めばいいのか」と笑った。川はその笑顔が嬉しく、値段の話をするのが遅れたのだという。子は黙って聞いた。売る側に悪がなくても、買う側が違えて信じれば取り返しがつかないことがある。を見せるには、それがで終わるかもしれないことも、正しく伝えてほしかった。
洗濯の展示台には、使い方をいたがついていた。『主婦のい方』という言葉を子は何度も読んだことがある。い方が欲しかったのは本当だ。しかし、方だと言いながら最には取りげるつもりだったのなら、それは何より残酷な売り方だった。
その晩、栄は居で族を集めた。「正の買い物はなくなる。俺の仕事が減ったからだ」と正直に話した。子供たちは顔を見わせた。末娘の文が「お餅はないの」と聞き、栄が「しならある」と答える。正彦は黙ってを挙げ、「俺、元は洗濯物を干す」と言った。修も「僕、たらいを洗う」と続けた。子は笑いそうになりながら、しだけ泣きたくなった。洗濯を失って初めて、族が洗濯を母だけの仕事だとわなくなっていた。