みかん小説
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"一等くじの切れ目" 第10話

の朝、柳町商にはいつもよりが集まった。福引が急に終わるとり、残った補助券を使おうとした客が列をつくっていたのである。子はその列を見てち止まった。商へを呼ぶために始めた福引が、いまは確かにを呼んでいる。客がんでいるのも事実だ。だからこそ、誰かが勝に当たりを配っていたのなら、その事実を曖昧にしてはいけないとった。

会の脇へくと、景品台にはすでに洗濯がなかった。川器へ戻したと係員は言う。展示のままを越す必がなくなったのだという。「等のへはどうするんですか」と尋ねると、係員は目を伏せた。「会が直接話すそうです」。子がへ向かう途、久蔵に呼び止められた。「倉田を見つけたなら、のを返させてくれ」。主の目のにはい隈があった。「あの子が盗むとってるんですか」と子が言うと、久蔵は答えずへ戻った。

午、真が隠れている作業に、美津も来た。は向かいって座り、初めて子ので話した。美津は抽選箱に特別なくじを入れたことを認めたが、真はそのに別のことをしていた。会が指定した当選者のための角くじを枚、半形に切り、普通のものと区別できるようにしたのだ。真は「命じられた通り作った」

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と言ったが、美津は「逃げたんじゃなくて、止めるつもりだった」と返した。

「どちらが先に違えたか、そんな話をしたいんじゃないよ」と子は言った。「いま、あんたたちが自分ので話せることを、ちゃんと分けてごらん」。美津はうつむきながら、母を当てるためくじを紛れ込ませたことを説した。真は、会の帳面に当たりの名簿が載っているのを見たこと、自分がくじの切れ目をつけたこと、を盗んでいないことを話した。の言い分はしずつ違っていたが、隠していたところを隠さずに言ううち、ようやく当の順番が見えてきた。

それでも真には話していないことがあった。最に子が「どうしてあのから逃げたの」と聞くと、は目をげた。「会が、僕の懐にのを入れようとしたからです」。真は胸元からさな封筒をした。には千円札が枚入っていた。久蔵がなくなったという額と致する。「僕は受け取ってません。元へ落とされたのを拾って、逃げたんです。でも、戻せば盗んだと言われる。持っていても同じです」。

作業の片隅には、真が寝にしていた古いむしろが敷かれていた。枕代わりの包みには替えの着が枚、櫛、それに折り畳んだが入っている。子は覗くつもりはなかったが、宛名だけが目に入った。

真の姉が嫁いだ福島の町の名だった。は逃げながらも、唯頼れる親族へをこうとしていたのだ。子は自分の子をも抱えているで、よその子に何ができるか迷った。なくとも誰かの居所を、黙って奪う側にはちたくなかった。

子は封筒を見た。がここにあるというだけでは、が無実だとは証できない。むしろ見つかれば真を疑うは増えるだろう。彼女は片桐にち会ってもらい、と額を記した受領の覚えをき、翌で久蔵へ返すことを提案した。真は震えるでうなずいた。その、戸のからの止まる音がした。誰かが作業のに来たのである。

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