"箱詰めされた母の人生" 第12話
「謝罪は受け取ります」
婚がほぼ決まったあと、圭子から連絡が来た。
《幸子さんに度だけ、直接謝りたい》
私は母へ伝えた。
「断ってもいいよ」
母は晩考えた。
翌朝、自分から話してきた。
「会うわ」
「丈夫?」
「うん。許すためじゃないの。自分の言葉で終わらせたいから」
駅のホテルにある静かな喫茶で会うことになった。
圭子は以よりな装で現れた。
席へ着くなり、母へくをげた。
「幸子さん。本当に申し訳ありませんでした」
母はすぐには答えなかった。
圭子が顔をげ、気まずそうに続ける。
「私、本当に最初は配していたの。きなにでしょう。階段もあるし……」
私はをきかけたが、母がテーブルのでそっと私のを押さえた。
自分で話す、というだった。
「それなら」
母が言った。
「私に直接言えばよかったじゃありませんか」
圭子が止まった。
「が広くて配。それだけでよかったはずです」
「でも輔がおに困っていて……」
「それも直接言えばよかったでしょう」
母の声は穏やかだった。
「息子さんに千百万の借がある。助けてほしい。そうをげられたら、私は断ったかもしれません。もしかしたらしだけ貸したかもしれない。何を選んだかは今では分かりません」
圭子は唇を噛んだ。
「でも、決めるのは私です」
母ははっきり言った。
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「どうして娘が私を嫌っているなんて嘘が必だったんですか?」
圭子は線を落とした。
い沈黙のあと、ようやく言った。
「……断られるのが怖かったからです」
「だから、確実にを売らせるために?」
圭子はさく頷いた。
それが初めて、言い訳を挟まない答えだった。
母はしばらく黙っていた。
「私をとしてではなく、おをすための段として見ていたんですね」
「ごめんなさい」
圭子は再びくをげた。
今度は「でも」も「だって」も続かなかった。
母はめた茶をんだ。
「その謝罪は受け取ります」
圭子が顔をげた。
「許してくださるんですか?」
「それは別の話です」
母は静かに言った。
「謝ったことは受け取ります。でも、以のようなお付きいに戻るつもりはありません」
圭子の目に涙が浮かんだ。
母はそれ以何も言わなかった。
許すとも、忘れるとも言わない。
相の悔まで背負わない。
それが母のしい境界線だった。
をたあと、の空気が頬に当たった。
「これでいい?」
私が聞くと、母はゆっくり頷いた。
「うん。これで終わり」
私たちは振り返らなかった。