"箱詰めされた母の人生" 第2話
母がで詰めていた箱
母はかから、しずつの回りの物を段ボール箱へ入れていた。
「急に全部やると変だからね。箱くらいずつなら、腰も痛くならないでしょう」
そんなことを言いながら、母は聞に包まれた器を指差した。私がの、初めてアルバイト代で買って贈った柄のカップまで箱のに入っていた。
私は胸が苦しくなった。
私が「仕事が忙しいから、今週は話しなくてもいいか」とっていた夜、母はでこのから消える準備をしていたのだ。
「どうして私に直接聞かなかったの?」
母に責めるつもりはなかった。それでも声は震えた。
「怖かったのよ」
「何が?」
「もしあんたのから、本当に『もうしんどい』って言われたら……私、どうしていいか分からなくなるとって」
母は夫をくしてから以、で暮らしてきた。困っても「丈夫」と言い、病院へくでさえ、私が仕事ならでタクシーに乗るようなだった。
その母が、私に捨てられることだけは怖かったのだ。
だから輔の言葉を疑うより、自分のをさくするほうを選んだ。
「輔さん、よく話をくれたのよ」
母がぽつりと言った。
「歩美は仕事で疲れている。今はそっとしてやってほしいって。自分がに入るから、必なことがあれば僕に言ってくださいって」
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夫は私のでは、「お義母さんがで決めたいみたいだから」と言い、母には「歩美を疲れさせないため、僕に相談してください」と話していた。
の善と慮を利用し、そのに自分だけが入る形を作ったのだ。
「それで、齢者向けの宅も輔が?」
母は頷いた。
休になるとをし、か所ほど見学へ連れてったという。
「本当に親切にしてくれたの。『歩美は忙しいから僕が代わります』って」
母はまだ輔をかばうような言い方をした。
私はりを押し殺しながら、部の隅にあったファイルをいた。
齢者向け宅のパンフレット。入居申込。料表。医療連携の案内。
そして入居予定は来になっていた。
「もう、ここまで決まってるの?」
「部は仮に押さえてあるの。最に私が正式な類へサインすればいいだけ」
私はを握る指に力が入った。
だが、それだけではなかった。
ファイルのからてきた別の封筒には、産会社の名が印刷されていた。
「これは?」
母はし気まずそうに線を落とした。
「このを売る相談」
の奥で何かが鳴った。
「まで売るの?」
「私には広すぎるでしょう。階の掃除も変になってきたし」
そこまでは事実だった。最、母は膝が痛いと言っていたし、築数の古いをで維持する負担も軽くはない。
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しかし、私は母の顔を見た。
「それ、本当に今すぐしたかった?」
母は答えなかった。
「お母さん」
「……輔さんがね」
やはり、その名がた。
「今売ったほうが、歩美も楽になるって」
「私が?」
「宅ローンもあるし、あんたたちだってこれからおが必でしょうって」
私はったままけなくなった。
「私、輔にそんな相談、度もしてない」
母の目がきくなった。
私は封筒のをさらに確認した。
査定、売却の流れを説する資料、取り額の試算。
そして枚ののに、きできく数字が残されていた。
《1500万円》
「お母さん、この数字、何?」
母はその数字を見つめたあと、ためらいながら答えた。
「が売れたら、そのくらいをあんたたちに渡すって話」
「誰が言ったの?」
「輔さん」
「何のために?」
「宅ローンをしでも減らしてやりたいって。あんたは直接頼めない性格だから、僕がに入りますって」
私は目を閉じた。
私たち夫婦の宅ローンは、返済に困ってなどいなかった。
それどころか輔自、毎の計を確認していたのだから、番よくっているはずだった。
「どうやって私に渡すって言ってたの?」
母はし考えた。
「輔さんの座に度入れて、そこから繰りげ返済するって。歩美には内緒にして驚かせようって」
私は子に腰を落とした。
母を施設へ移す。
を売る。
売却代の部を、自分の座へ入れさせる。
しかも私には何もらせない。
これは「お義母さんの将来を配した」だけでは説できない。
私はにかれた《1500万円》を見つめた。
輔は、どうしてそこまでしてこのが必だったのか。
その答えをるためには、まず夫が母の周囲で何をしていたのか、つずつ確かめなければならなかった。
そして母が次ににした言葉で、私は夫の計画が像以にんでいたことをる。
「そういえばね、産さんから、輔さんが何度も話してるって聞いたわ」
「何を聞いてるの?」
母は首を傾げた。
「が売れたら、番くていつおが入るのかって」