"残高ゼロの通帳" 第7話
郵便受けの警告状
実での活は、驚くほど穏やかだった。
朝に起きても、誰からの嫌がらせも罵声もんでこない。母と並んで台所にち、焼き魚と噌汁をえ、ゆっくりと朝をわう。会社へ勤すれば、経理課の仲たちが普段通りに迎えてくれた。
曜の朝番、ゆきは会社の総務課へを運び、与振込座の変更届を正式に提した。すでに曜夜にネット申請を済ませていたため、処理は瞬くに完した。これで翌以の与が節子の元に渡る能性は完全に消滅した。
方、笠原では急速に活の歯が狂い始めていた。
に入って最初の週末、信吾からゆきの携帯へ、すがるような話が入った。
『ゆき……頼むから、度話を聞いてくれ。のがめちゃくちゃなんだ……』
声にはかつての横柄さは微もなく、疲労と困惑が濃く滲みていた。
『トイレットペーパーって、どこで買ってたんだ? 洗剤もシャンプーも全部切れた。母さんに言ったら「あんた男でしょ、買ってきなさいよ」って鳴られて……スーパーへっても、どれを買えばいいのか全然分からなくて……』
「駅のドラッグストアに売っています。用品のリストは、台所の引きしのメモにいておきました」
『それから……気とガスの督促状が届いたんだ。
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「引き落とし能のため、期までに支払わなければ供を止する」って赤いが入ってて……! これ、どうすればいいんだよ!?』
「私の座を解約同然にしたのですから、引き落とせないのは当然です。信吾さんの座へ切り替える用も、同じ引きしに入れてあります。急にご自で続きしてください」
『続きって……仕事が忙しくてにく暇なんてないよ! それに、費がもう底をついたんだ。母さんが「今分の活費をよこせ」って万円も求してきて……俺の料、宅ローンと管理費を引いたら元にほとんど残らないんだぞ!』
ゆきは話の受話器を握り直した。
経理のプロとして、ずっと喉に引っかかっていた疑問を、ここで突きつけるが来たとじていた。
「信吾さん、あなたの取りは万円のはずです。ローンと管理費で万円引かれても、元に万円残るはずでしょう? と保険とスマホ代を引いたって、万円以は余るはずです。どうして『元にほとんど残らない』なんてことになるの?」
『それは……その……々あるんだよ、付きいとか……』
「毎万円も、何の付きいに使っているんですか?」
信吾はごもり、そのまま「また連絡する」と言って方に話を切ってしまった。
わない数字。消える万円。
節子が毎を過ぎると嫌で百貨へ通い、体の回数券を買い漁っていた姿が、ゆきの脳裏で鮮に結びつき始めていた。
そして旬、決定な破局の引きが笠原の郵便受けに投函された。
仕事を終えて疲れ果てて帰宅した信吾が、郵便受けから取りした通の圧着ハガキ。
差は、方の個営業部。
宛名は『笠原節子様』。
表面に赤字できく印字されていたのは、信吾の目を疑わせる文字列だった。
『定期預満期およびおき換え続きのご案内』
信吾はそのハガキを握りしめ、リビングのソファーでテレビを眺めていた節子のに、りを押し殺した取りで歩み寄った。