"誤爆LINEの夜" 第17話
誤爆LINEを消せなかった理由
居へ移ってから、スマートフォンの写真や古いデータを理した。
その途。
あの保したスクリーンショットがてきた。
《今旦いないから、いつもみたいにイチャイチャしよ♡》
続いて、
《ホテル泊まるって。絶対帰ってこないよ》
昔なら、見るだけで胸が締めつけられた。
だが数か経った今は、議なくらい静かに眺めることができた。
削除しようとした。
指をゴミ箱のマークまで持っていく。
しかし止まった。
未練ではない。
復讐でもない。
ただ、あの通が俺のの分岐点だったことだけは事実だった。
もし子が送り先を違えなかったら。
青との関係は続いていたかもしれない。
健太との関係も。
俺は何もらないまま、張から「ただいま」と帰り、子が作った夕をべていたかもしれない。
像すると背筋が寒くなる。
だが同に、別のことも考えるようになった。
本当に、俺には何も気づく会がなかったのだろうか。
い返せば、さな違はいくつもあった。
スマートフォンを伏せるようになった。
俺の張予定を以より細かく確認するようになった。
度、予定よりく帰宅した、子が妙に嫌だった。
休に誰かから話が来ると、ベランダへて話すことが増えた。
俺は全部、
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仕事。
友達。
偶然。
そう処理していた。
妻を信じていたからだ。
そのことを悔する必はないと、今はう。
信用すること自体が違いだったわけではない。
裏切った側の問題まで、「気づかなかった自分が悪い」にする必はない。
ただし。
信用と、見て見ぬふりは違う。
もしこれから誰かとしい関係を築くことがあるなら、違を全部み込むようなことはしないだろう。
俺はスクリーンショットを削除しなかった。
代わりに、パスワード付きのフォルダへ移した。
普段目に入らない所。
必がなければ度とかない。
それでいい。
過は毎眺めるものではない。
でも、なかったことにする必もない。
その夜。
分の夕飯を作った。
料理は得ではない。
野菜炒めと噌汁。
ご飯。
それだけ。
卓へ座ると、以なら向かい側に子がいた。
今は誰もいない。
寂しさがないと言えば嘘になる。
けれど同に、妙ながあった。
誰かのスマートフォンを疑わなくていい。
張予定を伝えることを怖がらなくていい。
突然へ帰ってもいい。
自分のなのだから。
当たりのことだった。
俺は噌汁をんだ。
しかった。
「まずいな」
誰もいない部で笑った。
それでも、その夜の夕飯は悪くなかった。