"剣を捨てない花嫁" 第9話
完璧な嫁候補
絹乃は志乃の姉の娘だった。
幼い頃から久世へ入りしており、臣とも昔から顔見りだという。
彼女は何をしても美しかった。
茶を入れれば元まで絵のようで、庭を歩けば裾がほとんど乱れない。私が何週練習してもにつかないことを、彼女は息をするようにこなしていた。
「澄様のお噂は聞いております」
絹乃は私にも丁寧だった。
「女性たちへ剣を教えていらっしゃるとか」
「はい」
「すごいですね。私にはとても」
褒められているのに、なぜか居が悪かった。
そのの夕方、志乃が私の横へ来た。
「絹乃を見てどういました?」
「美しい方です」
「でしょう」
志乃は満そうに笑った。
「本来なら、あの子がここにいたはずなのです」
私は黙った。
「あなたも分かったでしょう。久世の妻には、ああいうがふさわしい」
言い返そうとえばできた。
だが絹乃を見たでは、志乃の言葉が胸に刺さった。
その夜、臣が部へ戻ると、私は先に布団へ入っていた。
「寝たのか」
「はい」
「返事をしている」
私は目を閉じたまま黙った。
臣はしばらくして隣に座った。
「絹乃のことか」
「違います」
「そうか」
「違います」
度言ったせいで、余計に分かりやすかった。
臣がさく笑う。
「何がおかしいのです」
「おもそういう顔をするのだなとって」
「どういう顔です」
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「嫉妬している顔」
私はび起きた。
「していません」
「している」
「していません」
「なら、なぜ俺と絹乃が話すたびに刀をく握る」
私は言葉を失った。
見られていた。
恥ずかしくなって顔を背ける。
「絹乃さんなら、私よりずっと」
「妻に向いている?」
図だった。
臣はため息をついた。
「澄」
「はい」
「俺が選んだのはおだ」
「でも」
「から」
その言葉で何も言えなくなった。
臣は笑った。
「それに絹乃は俺を嫌っている」
「え?」
「昔、稽古に庭の池へ落とした」
私はわず吹きした。
「なぜそんなことを」
「をかけたら、そこに池があった」
「ひどい」
「だから向こうも俺と結婚したいとはっていない」
翌、絹乃本からも同じことを聞いた。
きりになった、彼女が突然笑った。
「臣様と結婚するなんて、私は絶対嫌でした」
「え?」
「だって子どもの頃、池に落とされたんですよ」
話が致している。
私は笑ってしまった。
絹乃も笑った。
「叔母様だけが、昔から勝に決めていたんです」
「では、あなたは」
「私には好きながいます」
彼女はし頬を赤くした。
志乃の企みは、姪本の気持ちさえ無したものだったのだ。
そのの午、絹乃は志乃と激しく言い争った。
「私を理由に澄様を追いそうとしないで」
「私はあなたのために」
「違う。叔母様は自分のい通りにしたいだけでしょう」
志乃は言葉を失った。
私はそのかられた。
議と勝った気はしなかった。
むしろ志乃もまた、「こうあるべき」という考えに自分自を閉じ込めているように見えた。
夜、臣と庭で稽古をした。
本目は私。
本目は臣。
本目は引き分け。
息を切らしながら座り込む。
臣が言った。
「ようやく戻ったな」
「何がです」
「の顔」
私は空を見げた。
がていた。
あの夜と同じだった。