"出張先で娘が「物置で寝てる」と泣いた夜" 第9話
断罪の法廷
午分。自宅のに到着した亮平の目にび込んできたのは、予通りの景だった。
玄関のには依然として由紀のワゴンが居座り、階の窓からは煌々とかりが漏れていた。退する気など微もない証拠だった。
亮平は同を依頼した元の鍵業者と、警備会社のスタッフ名とともに敷内へ入った。
ガチャリ、と鍵穴に差し込んだ古い鍵は、すでに回らなかった。内側からチェーンが掛けられているのだ。
ピンポーン。
インターホンを鳴らすと、貴子のヒステリックな声がスピーカーから響いた。
『何しに来たんだい! ここは私のだよ! あんたなんかに鍵はけないからね!』
「母さん、を過ぎた。退勧告を無したとみなし、今から警察を呼んで鍵を制交換する」
亮平が携帯話を取りし、所轄署へ通報を入れた。分、パトカーが台到着し、名の警察官がからりてきた。
「警察を呼んだって無駄だよ!」ドアの隙から貴子が叫んだ。「これは族の問題だ! 民事介入だろうが!」
しかし、同した警察官は、亮平が提示した産の登記簿謄本と、弁護士の受任通、そして今朝の監禁の録音データを確認すると、極めて厳格な表でドアの隙を押し広げた。
「お母さん、チェーンをしなさい。この建物の所権は亮平さんと奥様にあります。
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あなた方にここに留まる法な居権はありません。さらに、昨夜の監禁事案について刑事課への被害届が受理されています。このまま居座るなら、退罪で現犯逮捕しますよ」
「た、逮捕……!?」
由紀の鳴ががり、ガタガタと音をててチェーンがされた。
ドアがいた瞬、鍵業者が素くシリンダーを取りし、最型のディンプルキーへと交換作業を始した。わずか分で、貴子と由紀が持っていた古い鍵は、ただの無価値な属片と化した。
「荷物はこれだけか」
亮平は玄関に放りされていた由紀のスーツケースと、貴子のの回り品を扉のへと運びした。
「亮平! あんた本当に親をに迷わせる気かい!」
貴子が端で泣き叫び、所の民たちがカーテンの隙から物珍しそうに顔を覗かせる。かつて世体を何よりもんじていた女が、自らの悪業によって、最も無様な姿をのに晒していた。
「に迷わせたのは自分自だ。由紀の借のことも、全部っているぞ」
亮平の言に、由紀がヒッと息を呑んでずさりした。
「千百万の借のために、俺のを奪おうとしたんだろうが。恥をれ」
はそれ以、言も発することができなかった。警察官に促され、は逃げるようにワゴンに乗り込み、夕の宅へとりっていった。
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それから週。横浜庭裁判所の調。
亮平と苗、そして佐々弁護士が座るテーブルの向かい側に、すっかりさくなった貴子と由紀が、国選弁護を伴って座っていた。
由紀の夫はすでに正式な婚届を突きつけ、息子の親権を父親側が持つことでしていた。由紀には親権も財産分与もなく、残されたのは千百万円の巨額の借だけだった。
調委員が厳かに申し渡した。
「申側の求通り、調条項を定めます。第に、相方両名は、申族およびその居宅、職、学に対して半径百メートル以内の接を永久に禁止する。第に、切の連絡・接触を断ち、本件産に関する権利主張を未来永劫放棄する。第に、持ちした預通帳および実印の即返還。これに違反した、回につき万円の接制を課すとともに、直ちに刑事告訴状を検察庁へ送致する」
貴子は類に署名する際、が震えてインクを滲ませた。
「亮平……お母さんが、悪かったよ……」
掠れた声で許しを乞う母親を、亮平はたく見据えた。
「もう遅い。おが物置の扉を閉めたあの瞬、俺たちの親子関係は完全に終わったんだ」
調のいドアが閉まり、度と交わることのない断絶が、法のによって決定づけられた。