"昼寝ばかりの嫁が、潰れかけの餅屋を救うまで" 第5話
午までの
曜の夜、美穂は健と緒に買い物へた。戻ってきたが抱えていたのは、よもぎと豆、無の箱、予約用のシール、古い蒸籠の修理部品だった。の豪華な箱も、しい板もない。真弓は「最の万円で、こんなものを買ったの?」と呆れたが、美穂は必額しか使っていなかった。真弓が以注文したの化粧箱百個は、まだ製造だったためキャンセルし、万円を戻していた。
美穂は残った現を封筒へ分けた。材料費、修理費、翌週の最限の運転資。真弓は「千万円必なのに、数万円単位で分けて何になるの」と言った。美穂は「全部を度に解決しようとすると、またきな注文へびつきます。まずからがけるおを残します」と答えた。文子は何も言わなかったが、通帳を美穂へ渡したは最までかった。
午、文子が習慣で目を覚ますと、の隅の子に美穂はいなかった。膝掛けは角く畳まれ、作業台のに美穂がっている。文子は黙ってをつけ、よもぎを茹でた。を切り、両でく絞る。繰り返してきた作だった。美穂はその隣でスマートフォンを構えた。「何を撮ってるの」「お母さんのです」「顔は?」「いりません。だけでいいです」
美穂は、よもぎを刻み、餅へ練り込み、豆を散らし、蒸気ので文子の指がく様子だけを撮った。
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真弓は「がなくなりそうなのに画を撮ってる?」と言ったが、美穂は説しなかった。朝、撮った映像を分ほどにまとめ、域の掲示板とい画を投稿できるサイトへ載せた。文章はだけだった。
《毎、私たち族が先にべてから、おに並べています。》
それは、文子が注文メモの端にいていた言葉だった。美穂は派な宣伝文句を作らず、が危ないとも、助けてほしいともかなかった。働いたと、湯気と、よもぎのだけを見せた。さらに、よもぎ豆餅をでべられるきさに変え、無の箱へ個ずつ入れた。も材料も変えていない。変えたのは、が初めて見たにに取りやすい形だけだった。
午、客は。には。よもぎ豆餅の箱はつも売れなかった。昼を過ぎてもは静かで、真弓は子で寝ている美穂を見て「ほら、何も変わらないじゃない」と言った。文子は午半、エプロンを脱いでさな箱をした。には実印が入っている。を閉じる類へ押すためだった。
健は何度もを見た。商はいつも通りで、百のに、クリーニングのに自転が台あるだけだ。画の再数はしずつ増えていたが、のの景は変わらない。真弓は「数字を見るのが得でも、客を呼ぶのは別だったってことね」
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と吐き捨てるように言った。美穂は目を閉じたまま、何も返さなかった。
午、のが来た。分、材料の林。分、方の担当者、伊藤直が入ってきた。机のには、賃貸契約終の確認、返済条件理の類、今の差し押さえ続きに関する説が並べられた。伊藤はつずつ説し、文子は黙って頷いた。
分を過ぎると、文子は実印の箱を机の央へした。健は「まだがある」と言ったが、文子は「分や分で何が変わるんだい」と答えた。真弓もを見たまま黙っている。美穂だけが、いつものように膝掛けので呼吸していた。
分。伊藤が最の類をへした、の隅に目を止めた。古い膝掛けので、美穂が眠っている。伊藤のが止まり、ペン先が類ので宙に浮いた。
「……まさか」
族が斉に顔をげる。伊藤はちがり、美穂のまで歩いた。
「佐藤美穂さんではありませんか?」
膝掛けので、美穂の目が静かにいた。