"愛人と帰国した夫、30分の猶予" 第16話
翔太はテレビの入力切替を操作し、持参したポータブルHDDをUSBポートに接続した。
画面が切り替わり、暗いリビングの映像が映しされた。
「これ、僕がまだ歳くらいのの映像だよ」
翔太が淡々と説する。
「おばあちゃんが僕を勝に保育園から連れしちゃうことがあったから、ママが僕の全を配して、ベビーサークルの見守り用に設置してくれたベビーモニターの記録なんだ」
義母がバツの悪そうに顔を背けた。
画面のには、ベビーサークルので眠る赤ん坊の頃の翔太が映っていた。プライバシーに配慮し、サークルのだけが映るように固定されていたはずのアングルだった。
しかし、次の瞬、部のドアがき、若い頃の憲吾と、見らぬ若い女性がリビングに入ってきた。女性は何の気なしに、持っていたきなブランドバッグをベビーサークルの柵のに乱暴に置いた。
その衝撃で、カメラの向きがガタンと横にズレたのだ。
アングルが変わり、リビングのソファー全体が画面の央に収まった。
そこに映しされたのは、ソファーので抱きい、やがて昼堂々、未成の息子には到底見せられないような破廉恥な為に及び始める憲吾と女性の姿だった。
「あ、これ以は見なくていいわね」
私はリモコンを操作し、即座に画の再を止させた。
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「えー、僕は平気だったのに」
翔太がケロッとした顔で言ったが、私の胃の奥からは激しい吐き気が込みげていた。
平気でなかったのは、私だけではなかった。
憲吾は両で顔を覆い、ガタガタと全を震わせていた。義母はいたが塞がらないといった様子で、絶望の表を浮かべてソファーにへたり込んでいる。
「相の女性の元も、すでに弁護士のによって完全に特定されています」
私は徹な声で告げた。
「先に言っておきますが、効にはなりませんよ。法為の損害賠償請求権の効は、『損害および加害者をった』からカウントされます。私たちが相の元を特定したのは、つい先のことですから」
法な逃げを完全に塞がれ、義母は言葉を失って唇をわなわなと震わせた。
「さあ、私たちはかぬ証拠をすべて提示しました。あなた方が私に慰謝料を請求するというのなら、そちらも客観な証拠を用されているのですよね?」
私の問いかけに、義母は悔しそうに顔を歪めながらも、往際悪くいがった。
「せ……精神な苦痛を受けたのは私たちなんだよ! 私たちの証言そのものが証拠なんだ!」
私はいため息をつき、首を横に振った。
「ちなみに補ですが、婚姻期にお義母さんから私に向けられた数々の暴言やモラハラの証拠なら、こちらにのようにありますよ。
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あのベビーモニターには集音能もついていましたし、翔太のレッスンの録音にも、お義母さんがので鳴り散らしていた音声が何分も克に残っていますから」
義母は泣きそうな顔になり、震えるでスマートフォンを取りして誰かに話をかけようとした。
「あ……あの佐藤さん……! 婚の話のに同席してくれた佐藤さんなら、私の方になってくれるはず……!」
「お義母さん、本当に浅はかですね」
私は憐れむような目を向けた。
「私が何、このにんでいるとっているのですか? 佐藤さんは、私が赤ん坊の頃から私の両親と親交があった、幼馴染のようなご所さんですよ。あなたたちが旅にっているに事を説しにご挨拶に伺ったら、『咲きちゃん、変だったね。私たちがついているからしなさい』って、泣いて方になってくれましたよ」
義母のから、スマートフォンがポロリとに滑り落ちた。
完全に退を断たれ、義母は両で顔を覆ってボロボロと涙を流し始めた。憲吾はその横で、さくなっていため息をついている。
「というわけで、私からあなた方へ、正当な慰謝料を請求いたします。……もちろん、このを渡すつもりも切ありません。ここは、今までも、これからも、私の切なですから」
万事休すかとわれたその、ソファーで項垂れていた憲吾が、突然ガバッと顔をげた。