"愛人と帰国した夫、30分の猶予" 第15話
「私から、あなた方へ支払う慰謝料は円もありません。……逆に、私からあなた方に対して、の貞為と悪質なモラハラに対する慰謝料を正式に請求します」
その瞬、憲吾と義母の顔が引きつり、みるみるうちにりで真っ赤に染まっていった。
「はあ!? 何言ってんだよ! 慰謝料を請求してるのはこっちだ! 被害者は俺と母さんなんだよ!」
「そうよ! 憲吾がに女を作ったのは、全部あんたがたい嫁だったからじゃない! あんたが悪いんでしょ!」
り狂う義母に対し、私は極めて静に問いかけた。
「では、お伺いしますが……憲吾さんが最初にを作ったのは、具体にいつからですか? これは裁判でもな争点になります。嘘をつかずに答えてください」
義母は言葉に詰まり、隣の憲吾に助けを求めるように線を送った。
憲吾はを掻きむしり、忌々しそうに私を睨みつけた。
「さ、最だよ! ここくらいだ! 翔太が結にピアノを習い始めてからに決まってるだろ! そのは結のなんてらなかったんだから、ちょっと考えれば分かるだろ、このバカ!」
憲吾の浅ましい罵倒にも、私のは微だにしなかった。
「それは、結さんとの関係の話よね。……じゃあ、の女性たちはどうなんですか? 結婚してから今までの、あなたの周りにいた何ものたちのことは、どう説するつもり?」
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「な……何言ってんだよ……!」
揺する憲吾のに、それまで静かに座っていた翔太が、通学用のリュックサックから分いクリアファイルをドンと取りし、テーブルのに置いた。
「パパ。僕が最初にパパのをおかしいってったのは、僕がまだ保育園に通っていた頃だよ」
翔太の静かで澄んだ声が、静まり返ったリビングに響いた。
「パパ、あの頃、父母会のみ会だって言って頻繁に朝帰りしてたよね。『アキラ君のお父さんがお酒にくて介抱してた』ってママに嘘をついてさ。……でもね、僕、アキラ君とすごく仲が良かったからってたんだよ。アキラ君のには、最初からお父さんなんていなかったんだ」
憲吾の顔から、サッと血の気が引いた。
「パパが倫してたのは、当の父母会の会さん――アキラ君のお母さんだったんでしょ?」
私は元に用していた育児記のコピーをいた。
「翔太が卒園するまで、私は詳細な育児記をつけていました。憲吾さんが『父母会』と称してし、朝帰りをしたはすべて克に記録されています。そして、あなたたちがの島で遊んでいたこの週のに、翔太の協力によって当の元会さんから直接お話を伺い、あなたとの貞関係を認める署名入りの陳述をいただいています」
憲吾は喉を鳴らし、絶句した。
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しかし、翔太の追撃はそれだけにとどまらなかった。
「僕が最初に習ったピアノの先もそうだよね。コンクールで入賞できなかったから、パパの方からポイ捨てしたみたいだけど。……それから、学のの国の英語の先。パパ、英語で先を説いてたよね? 僕が子どもだから分からないとってたみたいだけど、僕、復習のためにレッスンの音声を毎回ボイスレコーダーで録音してたんだよ」
翔太は型のデジタルプレーヤーを操作し、再ボタンを押した。
スピーカーから、流暢な英語で国女性を説く憲吾の々しい声が流れした。
『今夜、君の部にっていいかい?』
『昨の夜は最だったよ、また会いたいな』
「僕、英語のヒアリング、すごく得だったからさ。パパが何を言ってるか、全部理解できてたんだよ」
憲吾の顔は、もはや青さを通り越して気に変していた。
しかし、隣にいた義母は、まだ息子の敗を認めたくないのか、ヒステリックに甲い声を張りげた。
「そ、そんなの……! ただの状況証拠じゃないかい! 録音なんていくらでも編集できるし、相の女だってで買収して嘘の証言を言わせたに決まってるわ! もっと決定な、言い逃れのできない証拠がなきゃ、裁判所だって認めないわよ!」
義母の悪あがきのような求に、翔太はややかな笑みを浮かべた。
「おばあちゃん、決定な証拠が見たいの? ……いいよ、見せてあげる」