"愛人と帰国した夫、30分の猶予" 第13話
憲吾たちがをた、翔太が誇らしげにレコーダーを私に見せてくれた。
「翔太……こんなことまでして、本当に丈夫なの? パパにバレたら、プライバシーの侵害だって騒ぎされるんじゃ……」
がる私に対し、歳の息子はケロッとした顔で笑った。
「ママ、法為の証拠収集において、自宅内での録音は違法にはならないんだよ。集めた証拠をどう法に運用するかが事なんだ。これは全部、あの弁護士さんと相談してめてるから、して」
本当に、いつのにこれほど頼もしくなったのだろう。
夫と会ってしまったことは最の運だったが、この聡で優しい息子を授かることができたことだけは、神に謝せざるを得なかった。
私は憲吾が署名・捺印した婚届を預かり、翔太同伴のもとで役所へ向かい、正式に婚届を提した。
れてとなった私たちは、悪魔のような親子がの週のに、完璧な布陣をえていったのだ。
そして物語は、冒の面へと繋がる。
真っ黒に焼けして帰宅した憲吾と義母に対し、私が「分に消えます」と告げた、あの瞬だ。
分、インターホンが鳴り、郵便局員から渡された通のい封筒。
表きには、厳めしい文字で『内容証郵便』と印字されていたが、浮かれ切った親子はろくに確認もせず、「慰謝料の切だ!」
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とい込んで狂乱した。
ちょうど分が経過した、配していた引っ越し業者のトラックが到着し、私の荷物は瞬くに積み込まれた。
そして私は、玄関先で嘲笑を浮かべる元夫と元義母に背を向け、迎えに来てくれた漆黒の級サルーンへと乗り込んだのだ。
「は……!? 体どういうことだ!?」
ミラー越しに見える憲吾の驚愕の表を置きりにし、は滑らかに坂をっていった。
級はそのまま、翔太の通うのへと向かった。
授業を終えて待っていた翔太を部座席に乗せると、は内の部にある、設備のったウィークリーマンションへと向かった。トラックで運ばれた荷物は、すでに管理ち会いのもとで部へと運び込まれていた。
マンションのエントランスにを滑り込ませた運転席の主は、シートベルトをし、部座席を振り返って爽やかな笑みを浮かべた。
「咲子ちゃん、翔太君、お疲れ様。部の配は完璧にしてあるから、して入ってね」
「清川君……本当に、何から何までありがとう」
私が々とをげると、運転席の男性――憲吾の会社の現社である清川竜氏は、優しく目を細めた。
「いいってことよ。昔の仲じゃないか。それに、翔太君の力になりたかったんだ」
憲吾が「親のりの若造」と見し、社内クーデターを画策していたその相こそが、この清川社だったのだ。
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その清川氏のに乗って妻がっていったのだから、憲吾の混乱ぶりは像に難くなかった。
「詳しい打ちわせは、またにしよう。今はとも、ゆっくり休んでね」
清川社のを見送り、私と翔太はウィークリーマンションのへとを踏み入れた。
あの息の詰まるようなから解放され、悪に満ちた親子と顔をわせることもない空。窓のには夕暮れの並みが広がり、駅や私の職、翔太のへも徒歩で通える適なだった。
精神な圧から解き放たれ、私たちは久しぶりに、の底から穏やかな夜を過ごすことができた。
嵐が吹き荒れたのは、私たちがをてから週が経過したのことだった。
平の勤務、マナーモードにしていた私のスマートフォンが、ポケットので断続に激しく震え続けていた。仕事は私用話にられないため放置していたのだが、夕方、退勤して画面を確認した私は息を呑んだ。
着信の件数が、百件を超えていたのだ。
発信者は、すべて憲吾だった。
完全に追いつめられ、パニックに陥っていることが目で見て取れた。
マンションの部に戻り、息ついてから、私は着信履歴をタップして話を折り返した。
ワンコールも鳴らないうちに、受話器の向こうから鼓膜を破らんばかりの声が炸裂した。