"十八年勤めた売り場を追われた日、恩返しが始まった" 第12話
堕ちたエリートの黄昏
季節は巡り、枯らしが吹きすさぶ初の夕暮れ。
方都の郊にある、築を超える古い造アパートの。万の煎餅布団ので、森孝志はえ切ったコンビニの半額おにぎりをに運んでいた。
部には器具すらなく、吐く息がく凍りつく。
懲戒委員会がした処分は、最もい「諭旨解雇」だった。無労働の制と帳簿改ざんの事実は業界にもさく報じられ、百貨業界や流通業界での再就職のは完全に閉ざされた。退職は幅に減額され、残った貯も宅ローンの繰りげ返済と違約の補填で底をついた。
妻からは半を突きつけられ、子供を連れて実へっていった。かつて誇り配っていた級マンションは競売にかけられ、元に残ったのは、この寒々しい畳のアパートだけだった。
現、森ができる仕事は、朝の物流倉庫での仕分けアルバイトと、夜の清掃作業だけだった。
「おい、森! が止まってるぞ! もっとくダンボールを運べ!」
代半の若い現監督から鳴りつけられ、森は腰の痛みに顔を歪めながらをげた。
「す、すみません……すぐやります……!」
い荷物を抱えながら、森の脳裏に、あのの千鶴の姿が何度もフラッシュバックした。
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『凍倉庫の庫管理を担当してもらいます』
かつて自分が笑を浮かべながら千鶴に押し付けた、過酷な労働。今、自分がその同じで、凍える寒さの、にまみれて荷物を運んでいる。
「……なんで、こうなっちまったんだ……」
暗ので、森は膝を抱えて呟いた。
携帯話のアドレス帳をいても、登録されている番号はつもない。かつて自分に媚びへつらっていた部たちも、本社の同期たちも、全員が着信拒否。
もし、あの。
川千鶴のの働きを正当に評価し、敬を払っていれば。
目先の数字や世に目を奪われず、現で汗を流すたちの声にを傾けていれば。
今頃、自分は派なスーツを着て、かいで誇りく指揮を執っていたはずだった。
すべては、者のをコストとして切り捨てた、自らの傲が招いた獄だった。
くの幹線をるトラックの音が、終わりのない孤独の底で、く響き続けていた。