"妻の事故と、五歳の娘が見抜いた嘘" 第15話
真しいランドセルと歳の
は矢のように流れ、の歳が巡った。 の爽やかなが桜のびらをい散らせる朝、介の自宅の玄関には、ピカピカに輝く真しいのランドセルが誇らしげに置かれていた。
「お父さん、見てくださいです!」 子供部からびしてきたは、紺のブレザーにチェックのプリーツスカートをに纏い、クルリと回転して見せた。 歳になり、すっかり背も伸び、赤ちゃんの面が抜けてしびた顔ちになっている。 「どうですか? 学に見えるですか?」
「ああ……すごく派なに見えるよ」 介はに膝をつき、の襟元をえながら、込みげてくるいものを必にみ込んだ。 あの獄のような婚劇から。 仕事と育児の両は、決して平坦なではなかった。がインフルエンザでをした夜は、もできずに氷嚢を替え続け、会社の休暇を使い果たしてをげて回ったこともあった。 だが、どんなに疲れて帰宅しても、が「お父さん、おかえりなさいです!」と駆け寄ってくる瞬、すべての疲労は吹きんでいた。
「ランドセル、背負ってみるか」 「はいです!」 介が赤いランドセルを持ちげると、は器用に両腕を通した。 革の匂いがふわりと漂う。背負い紐を調してやると、は姿見の鏡のにち、嬉しそうに何度も肩を揺らした。
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「くないか?」 「全然くないですよ! 教科もノートも、いっぱい入るですからね!」 はランドセルのサイドポケットに、介が作りした防犯ブザーと、さなマスコットを丁寧に収めた。
学の入学式へ向かう通学。 満の桜並のを、とりどりのランドセルを背負った親子連れがき交っていた。 介のをしっかりと握るのは、よりも回りきく、力くなっていた。 「お父さん、学にったらね、お友達を百作るですよ」 「百か、それは楽しみだな」 「うん! そしてね、お勉もいっぱい頑張って、くきくなって、お父さんのお伝いをもっとするですからね!」
の言葉に、介はわずち止まり、娘のを優しく撫でた。 「。お父さんのためにお伝いしなきゃなんて、わなくていいんだぞ。はの好きなことをして、楽しくお友達と遊んでくれれば、それだけでお父さんは番嬉しいんだから」
は介の顔をじっと見つめ、それからニパッと満面の笑顔を咲かせた。 「ってるですよ! でも、はお父さんのお伝いをするのが、番好きなんですもん!」
のに掲げられた『入学式』の板ので、は並んで写真を撮った。 通りかかった見らぬ保護者が「撮りましょうか」と親切に声をかけてくれ、介のスマートフォンには、満の桜を背に、満面の笑みでピースサインを掲げる父と娘の姿が美しく収められた。
そこには、欠落など微もなかった。 だからこそ築きげることができた、完璧な族の姿がそこにあった。