"雪の空港で消えた四人と第七格納庫" 第3話
35の第7格納庫
202412、旧斗空港の跡では規模な再発事が始まっていた。最まで残されていた第7格納庫もついに解体されることになり、現監督の隆志は朝から程表と全確認票を抱えて作業員たちのきを見ていた。
は解体事筋のベテランだった。廃や古い団、閉鎖された病院まで数え切れないほどの建物を壊してきたが、仕事に慣れれば慣れるほど「古い建物ほど定のものを隠している」と考えるようになっていた。そのため、で壁を抜くたび、度作業を止めて内部をの目で確認することを徹底していた。
午過ぎ、ショベルカーが格納庫側の壁をきく引き剥がした。波形の属板が鳴のような音をてて崩れ、く閉ざされていた内部への差しが差し込んだ。運転の鈴がをげたため、は懐灯を腰から抜き、部へ向かった。
格納庫の内部には古い備材がまだ残されていた。錆びた具箱、切断された線、脚の折れた作業台。には油染みが広がり、何も積もった埃が靴のでくった。
奥へんだところで、はを止めた。
匂いだった。
湿った材でも、油でも、物の骸とも違う。いを経てくなってはいるが、解体現で何度か嗅いだことのある種類の匂いが、側の壁付からわずかに漂っている。
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懐灯を向けると、倒れた型棚の背に自然な仕切り壁が見えた。格納庫の図面を確認した記憶では、その位置に部があるとはかれていなかった。棚を避けてづくと、壁の奥に古びた製の扉があり、錆びた具がぶらがっている。
は無線で鈴に告げた。
「作業を止めてくれ。誰も入れるな」
扉は完全には閉じておらず、部が腐してわずかに傾いていた。が側から慎に押すと、蝶番が軋み、数センチずつ暗が広がっていった。
部は畳ほどしかなかった。
窓はない。
懐灯のが最初に捉えたのは、央に置かれた脚の古い子だった。
その子には、それぞれの骨格が残されていた。
は反射に歩がり、背を扉の縁へぶつけた。声はなかった。つの子はさな円を作るように並び、それぞれの部が央を向く形で固定されている。
元には女性用の靴がずつ置かれていた。
布の残骸も残っていた。赤みを帯びた古い化学繊維で、には何のだったのか分からなかったが、に鑑識が1980代の航空会社制と致する能性がいと判断することになる。
彼は部へそれ以入らず、ゆっくり退した。
そして現から分にれたところで警察へ通報した。
約分、第7格納庫周辺には規制線が張られた。
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く無だった滑跡にパトカーの赤灯が反射し、防護を着た鑑識員たちが次々と建物へ入っていく。
捜査課の野耶警部補は、部の入からを見た瞬、その配置に確な図をじた。
事故でも、偶然でもない。
誰かがをそこへ置き、い、発見されない所としてこの部を選んだ。
隣にっていた柴田郎巡査部は、言も発しなかった。
野が横を見ると、53歳になった柴田の顔から血の気が引いていた。
「っているんですか」
しばらくして、柴田はの元を指さした。
「靴だ」
「靴?」
「1989のクリスマスイブ。従業員駐に残されていたのと、同じ組みわせに見える」
野はすぐに事件名を理解した。
で最も名な未解決失踪事件のつ。
35、斗空港から消えたの客乗務員。
柴田はかすれた声で続けた。
「もし、このがあのたちなら――」
彼は暗い部を見つめた。
「俺たちは35、探す所を違えていたんだ」