"七年後、屋上で見つかった妻の秘密" 第11話
『受領者:佐藤シゲル』
まさにミキが失踪したその週、シゲルの元には鋼鉄を切断し、再溶接するための材式が揃っていたのだ。
さらに、隣民への再度の聞き込みから、決定な目撃証言がもたらされた。
事件当、マンション2階にんでいた主婦・富子(当歳)が、刑事たちのな説得にいをいたのだ。
「警察の方が『自殺だ』とおっしゃったから、ずっと胸のにしまっていたんです……。でも、あのの朝、855分頃でした。ベランダにて洗濯物を干そうとしたとき、ヨガバッグを持ったミキさんが、に管理事務所の引き戸をけてに入っていくのを見ました」
「事務所に入るところを、確かに見ましたね?」
「はい。シゲルさんがからドアをけて、招き入れていました。ミキさんの顔はとても険しくて……。でも、ミキさんが事務所からてくる姿は、その度も見ませんでした」
目撃証言、材の、そして犯の。
包囲網は完全に完成しつつあった。
だが、順の胸にはまだつのピースが欠けていた。ミキが役所で閲覧したという決定な類の。郎から「タカシ」という名を聞きした、彼女はどこまで真相に迫っていたのか。
その答えは、福岡から届いた。
失踪直にミキから話を受けた親友、彩だった。
「刑事さん、聞で事件が再捜査されているとりました……。
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私、あの子が消えるに話で言われた番号を、ずっと帳にき留めてあったんです。捨てられなくて、引きしの奥にずっと……」
順は直ちに幹線にび乗り、福岡へ向かった。
受け取った褪せた帳の片隅に、鉛で記されていた文字列。
『KS-86-0412』
鹿児島役所建築指導課の文管理番号だった。
順が役所の庫から引きずりさせたそのファイルには、1986のサングリーン築の確認申請と、請け事業者の名簿、そして1989の災修繕の精算の控えが綴じられていた。
そして、その精算の裏表に、ミキ自の跡でかれた鉛のメモが挟み込まれていたのだ。
『タカシ 州85 吉永務』
『このは昔、別の名だった。災の修繕費は架空。は共犯』
片の端には、震える文字でこうきされていた。
『、管理に直接言いにく。怖がっちゃいけない。真実をらかにしなければ、このマンションは嘘のにち続けることになる』
歳の若い主婦が、たったで巨悪の正体を暴き、逃げることなく対峙しようとした決の証拠。
メモを証拠品ポリ袋に収めながら、順の目がくなった。
「さん……あなたの声は、ちゃんと届いたぞ」
20006。
鹿児島方裁判所から発布された逮捕状をに、捜査両台がサングリーンのエントランスへ滑り込んだ。
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「佐藤シゲル。ミキさんに対する殺および体遺棄の容疑で逮捕する」
エントランスの植栽を入れしていたシゲルの両首に、たい錠が嵌められた。
初のい差しの、窓から顔をした民たちが息を呑んで見つめる、シゲルは言も発することなく、度も振り返ることなくパトカーの部座席へと押し込まれた。
だが、逮捕も男の態度は変わらなかった。
「富子さんの証言? 彼女の見違いでしょう。ミキさんが事務所に来た事実はありません。溶接は壁のすりを補修するために借りたもので、のタンクには触れていません。メモも彼女が勝に妄でいたものです」
徹な完全否認。
起訴のタイムリミットが刻刻と迫る、裁判で罪を勝ち取るには、遺体とシゲルを直接結びつける「物証拠」が絶対に必だった。貯槽の底から採取された微細な布の繊維片。それがシゲルのと致しなければ、状況証拠の積みねだけでは公判を維持できない能性があった。
「管理事務所を徹底捜索しろ! の類、靴、具、あらゆるものを洗いせ!」
鑑識班と捜査員が管理事務所に踏み込み、板を剥がし、類棚の裏まで調べげた。
そして、事務机の横に置かれた型スチールロッカーの最段、古聞の束の奥くに押し込まれていたつの布包みが発見された。